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第1部 新時代の手掛かりを

過疎法をめぐる論議が続く自民党過疎対策特別委員会。地方から厳しい目が注がれる=東京・永田町
【04】

まとめ 「コミュニティ」

 「人口減少や少子高齢化が激しく、地域全体が限界集落に近づいている」。ことし5月18日、鹿児島市で山下栄(やました・さかえ)鹿児島県鹿屋市長(73)は訴えた。来年3月末で期限切れを迎える過疎法。延長の検討を進めようと訪れた自民党過疎対策特別委員会の玉沢徳一郎(たまざわ・とくいちろう)委員長(71)らは聞き入った。

▽国との擦れ違い

 財政破綻(はたん)した北海道夕張市で、住民ボランティアがお年寄りらの命を守る取り組みに立ち上がった。栃木県・鬼怒川温泉では、ライバルだった旅館・ホテルが街の再興へ手をつなぐ。生活のとりでを守ろうと、高知県四万十市の住民は自ら株式会社を設立した。いずれも危機に立つ住民の支えが地域コミュニティーであることを示している。1970年制定の過疎法は、高度成長期の都市への人口流出でコミュニティーの崩壊にひんした過疎地域に国が示した一つの処方せんだった。10年ごとに延長され、総額90兆円近い巨費がつぎ込まれた。しかし、支援対象は道路など「ハード事業」に事実上限定され、使い勝手の悪さが批判を浴びてきた。限界集落まで現れた現状は、この国の「岩盤」がもろくなっていることを露呈した。「集落の活性化、人づくりを」―。自民党過疎対策特別委員会に地方からぶつけられた声は、住民の思いと国とのすれ違いを際立たせる。よりどころとなるコミュニティーが取り返しがつかなくなる前に手を打たなければならない。

▽新たな「自治」を

 鳥取県智頭町で昨年秋発足した「百人委員会」。住民が事業を企画・提案し、町に予算化を要求できる仕組みだ。2009年度予算では、子どもに木工体験などをさせる「森のようちえん」など7事業に計約9300万円を支出した。寺谷誠一郎(てらたに・せいいちろう)町長(63)は「緊縮予算の中、住民の思いを盛り込んだ町にお金がなくても、住民の思いが反映された予算にしたかった」と話す。厳しい財政のやりくりの中で町民が直接参加すれば、真剣に行政に向き合うことになり、結果に対する責任も引き受けざるを得ない。同町の取り組みは行政との距離を縮めることで、住民が要望するだけの一方通行だった関係を、共に担う新たな「自治」に変えるきっかけとなる。要因や状況もさまざまに深刻化する地域社会の危機に対する答えを一つにまとめることは難しい。それぞれの解決策はそれぞれの地域にあり、コミュニティーの再生は反転への第一歩だ。住民の活動を支える仕組みをつくれるか。国に問われている。(共同通信社、文・片山寿郎、写真・関根孝則)

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一口メモ
コミュニティー崩壊

コミュニティー崩壊 高度経済成長に伴い都市部を中心に衰退。1990年代後半からは農山漁村でも、高齢化と若者の流出で共同作業が困難になり始め、政府の「地方再生戦略」(2007年)ではコミュニティーの再生を重点課題とした。



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