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 【第一回】 環境破壊、各地で顕在化
 【第二回】 変わる昆虫の世界
 【第三回】 海の環境破壊、各地で深刻
 【第四回】 進む山岳の自然破壊
 【第五回】 最近、地球がおかしい
 【第六回】 見え始めた温暖化の影響
 【第七回】 米作りに環境変動の影響
 【第八回】 漁業に迫る多くの危機
 【第九回】 水辺で進む破壊や汚染
 【第十回】 生息地追われる世界の鳥
 【第十一回】 温暖化が変える雪氷の姿
 【第十二回】 グローバル化する環境破壊
 【第十三回】 荒廃進み、外来植物茂る
 【第十四回・最終回】 変わる河川の生態系

環境リレー企画

都会に茂る亜熱帯の木  シュロは温暖化の象徴 

シイ、マツ、コナラ、ケヤキ…。武蔵野の面影をしのばせる風景が続く。しばらく歩くと突然、南国ムードに変わる。シュロの群生だ。亜熱帯性の樹木が、大都市・東京の真ん中で大きく葉を茂らせている。
 「シュロは目に見える地球温暖化の象徴。ここには直径十センチ以上の木が一万二千本あるけど、そのうち千八百本を占める。十年後は倍増するでしょう」。東京都港区の国立科学博物館付属自然教育園は、町中で自然散策が楽しめる人気スポット。園内の植生を研究する萩原信介植物生態学研究主幹は、一九七〇年代を境に急増するシュロに注目してきた。
 ヤシ科の中では耐寒性の高いシュロは、東北地方でも栽培できる。だが、冬も休まず光合成をするため、茎の一部が凍り、土からの水が葉に来なくなると、成木は大丈夫でも茎が細い芽生えは容易に死んでしまう。だから、昔はシュロがあまり増えず、園内にも自生していなかった。
 それが、今なぜ。「このグラフを見て」。萩原主幹が指さすパソコンの画面には、東京、ニューヨーク、パリの一九〇〇―二〇〇〇年の平均気温の変化が。百年間で世界の平均は〇・八度近く上がったが、パリは一度、ニューヨークは一・六度、東京は三度も上昇した。「冬だけみれば東京はプラス六度。人口密度が高くて、車も冷暖房も多い。大都会は地球温暖化を先取りしている」
 環境異変を体現するシュロの急増だが、自然は大事な役割も与えた。冬の光合成能力による年間を通じた二酸化炭素の吸収だ。「今の大都市生態系を考えると、最強のピンチヒッターです」と萩原主幹は話す。(東京新聞、文・写真、栃尾敏)
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 シュロ 平安時代に中国から渡来した。幹の高さは成木で七―八メートル。黒褐色の毛状繊維で上部が覆われ、葉はくま手形に広がる。毛は腐りにくく田植え縄として農家の必需品になり、丈夫な繊維は、たわしなどに利用される。幹は寺の鐘突き棒に使われた。

【東京新聞】