川を埋め尽くす外来植物 追いつかぬ除去作業
徳島県内を東西に流れる吉野川から分かれ、県北部を潤す旧吉野川と今切川の河口堰(ぜき)付近が昨年夏、一面緑に覆われた。緑の正体はボタンウキクサやホテイアオイといった外国起源の水草。その固まりは堰の上流二百メートル以上に及んだ。
川を管理する国土交通省徳島河川国道事務所によると、七月に確認して除去を始めたが、爆発的な繁殖に作業が追いつかなかった。今年二月末までの除去量は、過去五年間の年平均除去量六百八十立方メートルを大幅に上回る三万二千五百立方メートル。中でもボタンウキクサの多さが際立った。
徳島県内の植物に詳しい県植物研究会の木下覚(きのした・さとる)会長=鳴門市北灘町=によると、ボタンウキクサの大量発生が確認されるようになったのは四、五年前からだという。
ボタンウキクサはアフリカ原産のサトイモ科の植物で、関東から西の地域には一九九〇年ごろから日本に定着。水面を覆い尽くすと、ほかの植物の光合成を阻害し、魚介類にも悪影響を及ぼす恐れがある。環境省は二〇〇六年、法に基づく特定外来生物に指定した。
水温が一二度以下になると越冬できないとされるが、木下会長は県北部の河川や水路を調査し、一部が越冬しているのを確認した。通常は越冬しても台風によって海に流されるが、昨年は七月以降、吉野川上流部が記録的渇水に見舞われた上、台風もなかった。
木下会長は「最近の暖冬と台風接近の有無が影響しているのではないか」と分析する。
今のところ効果的な対策はなく、同事務所は「発生を確認したらこまめに除去していくしかない」と頭を痛めている。(徳島新聞社、文・高杉繁樹、写真・松前陽子)
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特定外来生物 海外から持ち運ばれ、生態系や人の生命、農林水産業に被害を及ぼす生物。外来生物法で、動物は八十四種類、植物はボタンウキクサなど十二種類が指定され、飼育や保管、運搬のほか、野に放つことが原則禁止されている。