北上する松くい虫被害 カミキリムシの分布広がり 秋田県北端に到達
樹皮がはがれ、白々と広がる枯れ木の一群。木の墓場のような荒涼とした光景が、秋田県の海岸線に点在する。松くい虫被害に遭った松林だ。被害を引き起こす体長1ミリほどのマツノザイセンチュウは、体長2、3センチのマツノマダラカミキリの体内に潜り込んで広がる。この小さなコンビが、青々とした海岸林を一変させた。
秋田県で被害が確認されたのが1982年。沿岸部最南端でのことだった。その後、被害はじわじわ北上し、特に県中央部の秋田市下浜周辺が深刻。国内被害の北限となる八峰町では2006年、青森県境まで250メートルに迫った。県境部では松を伐採して防除帯とするなど、被害の越境阻止作戦が展開されている。
被害研究の第一人者、秋田県立大の小林一三名誉教授は「温暖な地域ならカミキリは1年で成虫になるが、秋田では、個体の半数が2年がかりで成虫になって寒冷な気候に適応している。より厳しい環境に侵入しているわけで、秋田はその最前線だ」と指摘する。
北上は、進む地球温暖化の影響なのか。「科学的に十分なデータがあるわけではないが、あり得る話。温暖化はカミキリには確実に有利に働く」
防除活動は行政から市民へと広がり、秋田市下新城ではボランティア組織が被害木を材料に炭焼きを続けている。
「かつては枯れ木が燃料に使われたので松林に人の手が入っていた。それが放置され、被害を広げる要因になった」と代表を務める鈴木勝男さん。残された緑の保護に懸命だ。(秋田魁新報社、文・阿部弘道、写真・相原忠明)
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松くい虫被害 枯れ木の中で成長したマツノマダラカミキリは秋田県では6、7月に羽化、松の小枝を食べる。その際、体内に潜むマツノザイセンチュウが、かみ跡から侵入して増殖。夏場に松を枯死させ、それがカミキリの産卵木になるというサイクルで被害が広がる。
【写真】松くい虫被害で立ち枯れした海岸沿いの松林=5月13日、秋田市下浜
【秋田魁新報】