第45回衆議院議員選挙 > 党首、夏に戦う

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党首、夏に戦う

■にじむ強烈な自負 麻生自民党総裁

握手する麻生首相

集まった聴衆と握手する麻生首相=18日午後、JR赤羽駅前

 逆風は肌身で感じている。千賀子夫人、長男、長女とともに地元・福岡8区に入る「どぶ板選挙」は危機感の表れだ。それでも「景気対策の実績が理解されれば結果はついてくる」との確信は揺らがない。

 東京都内での18日の第一声。4~6月期の国内総生産(GDP)が1年3カ月ぶりにプラスに転じたことに触れると、声のトーンは一段上がった。「間違いなく、私どもの経済政策が当たったんだ」

 昨年9月の就任時、党の期待を集めた「選挙の顔」は色あせた。「私の一連の発言、党内の結束の乱れから信頼を損ねた」。 演説をおわびから始めることもいとわない。誤読を反省し、緑色の蛍光ペンで原稿を入念にチェックするが、言葉の端々に強烈な 自負心がにじむ。

 「日本を守れるのは自民党しかない」。占領下で祖父の故吉田茂元首相が口にしたグッドルーザー(良き敗者)になる気は毛頭ない。

  ×  ×  ×  

 107年ぶりに行われる8月の衆院選。 政権選択選挙に向け全国を駆け抜ける各党党首の表情を追った。


■実感する地殻変動 鳩山民主党代表

握手する鳩山代表

街頭演説を終え、聴衆と握手する民主党の鳩山代表=18日午後、横浜駅西口

 祖父の鳩山一郎元首相がつくった自民党を飛び出して16年。選挙のたびに「政権交代」という言葉を繰り返してきたが、今回は重みが違うと感じる。「歴史を塗り替える日がやってきた」。18日、東西二大都市圏での勝利が欠かせないと第一声に選んだ大阪で、マイクを握る両手にひときわ力をこめた。

 小沢一郎氏の辞任で代表の座をつかんだ。全国を飛び回り、白かった肌はすっかり日焼けした。甘いと言われても、政治哲学は「友愛」。演説は感謝の言葉から始まる。

 自らの政治資金虚偽記載問題がくすぶり、街頭では「"故人"献金はどうなった」とやじを浴びる。自民党からは「民主のマニフェストは虚偽」と攻撃される。それでも一人一人と握手すれば、握り返される力の強さに"地殻変動"を実感する。「国民が主役の、温かい、新しい政治をつくりたい」。自民党を打倒しても、祖父は理解してくれると信じている。


■退路断つプリンス 太田昭宏公明党代表

支持訴える太田代表

候補者として自らの支持も訴える公明党の太田代表=東京・JR赤羽駅前

 代表として初めて臨む衆院選。2年前の参院選は惨敗した。与党への逆風でも、支持母体、創価学会の青年部長を経験した「プリンス」に連敗は許されない。比例重複という退路を断ち、党の浮沈と政治生命を懸けた戦いに「何が何でも勝つ」。

 「くるくる変わるマニフェスト。党首2代が献金偽装する党に未来を託せるのか」。民主党攻撃のボルテージが上がる。懸念は二大政党の間での埋没。「元祖子育て支援、元祖清潔政治」と自民党との違いをアピールするのも忘れない。

 原爆症訴訟の解決に向け、ひそかに麻生太郎首相を説得した。連立10年。政策実現のためには与党でなければならない。自らの小選挙区当選には自民党の協力も必要だ。「逆風の原因は麻生首相」との思いをかみ殺しながら、自民党を支える。


■建設的野党に活路 志位和夫共産党委員長

手を振る志位委員長

車から手を振る共産党の志位委員長=仙台市

 格差が拡大する中、派遣労働者問題追及で先頭に立ち新たな支持層の開拓を図ってきた。手応えもあった。ただ、7月の東京都議選では、得票数は伸ばしながらも議席を減らす苦杯をなめた。

 民主党へ追い風の強さを実感し批判一辺倒だった姿勢を捨て、一致する政策では協力する是々非々の「建設的野党」路線を打ち出した。「民主党政権ができれば良いことには協力し、間違いにはきっぱりと反対する」

 党員、支持者の高齢化による党の体力低下に直面、体質改善が急務だ。

 強い日差しが照り付ける中、街頭演説はときに40分間に及ぶ。半袖シャツだがネクタイは決して外さない。「クールビズで西陣織業界が困っている」。中小企業と労働者の味方を自負、二大政党の下で生き残りを懸け熱弁をふるい続ける。


■平和と護憲譲らず 福島瑞穂社民党党首

手を振る福島党首

選挙カーから有権者に手を振る社民党の福島党首=仙台市

 自民、民主両党のはざまで埋没しないよう腐心する戦いだ。「自民党に不満、民主党は不安。だから社民党」。よく通る声で繰り返し訴える。

 「憲法9条を変えたくない人は社民党に」と平和と護憲を譲らない。それが唯一の生き残り戦略だと確信している。第一声の地には、米軍基地が密集する沖縄を選んだ。豊かさの中の貧困問題に取り組んできた自負もあり、スローガンは「命を大切にする政治」。

 民主党との連立に前向きだ。社会党当時、自民、新党さきがけとの連立政権で党勢の衰退を余儀なくされた。その過去から地方組織に抵抗感もあり、説得力が試される。

 唯一の女性党首。まな娘が18歳になったとき「母親卒業」と喜んだ。小さな体にかかる責任は大きい。「党首卒業」はまだまだ先になりそうだ。


■悲願の郵政見直し 綿貫民輔国民新党代表

気勢上げる綿貫代表

街頭演説で気勢を上げる国民新党の綿貫民輔代表=新潟県燕市

 議員生活40年の大ベテランが、比例代表北陸信越ブロックで挑戦する。「支援者に礼を失する」と猛暑でも背広とネクタイ姿で奔走。地方の疲弊を肌で感じながら「小泉改革で日本は良くなったのか」と問い掛ける。

 82歳。昨年秋には引退も検討したが、党代表の立場から考え直した。戦い慣れた小選挙区から比例代表へ。自民党当時は幹事長や建設相などを歴任した。厳しい道を選んだ理由は「小選挙区に出ると、古くからの支持者が自民党候補者との選択に苦しむから...」。

 衆院選で与野党が逆転すれば、悲願の郵政民営化見直しを最優先し、民主党との連立政権に参加する。見直しが進むほど党の金看板は色あせかねない。それでも「政治生命を懸けた選挙」と言ってはばからず、総決算の戦いを突き進んでいる。


■非民主受け皿狙う 渡辺喜美みんなの党代表

みんなの党の渡辺代表

街頭演説を終え汗をぬぐう、みんなの党の渡辺代表=栃木県大田原市

 「民主党のアキレスけんは労組依存体質。真の改革政党はわれわれだけだ」。大きな身ぶり手ぶりで、脱官僚と地域主権を訴えた後、こう付け加える。民主党に不安を感じる有権者の受け皿になろうという作戦だ。

 1月、定額給付金をめぐり麻生太郎首相と対立し自民党を離党。しかし、期待に反し、後に続く離党者は少なかった。新党結成も難航した。

 党公認候補は15人。「金と時間があればもっと出せた」と悔しがる。民主党の勢いも予想を超えている。だが「政権交代の先を見ているのはわれわれだけ」と鼻息は荒い。政界再編のキーマンたるべく自らを奮い立たせながら遊説が続く。


■古巣の民主を批判 渡辺秀央改革クラブ代表

改革クラブの渡辺代表

街頭演説を終え、車に乗り込む改革クラブの渡辺代表=堺市中区

 民主党を離れ、新党を結成して間もなく1年。「改革する保守」を掲げ、政権交代に異を唱える。「民主党の主張は社会主義の政策。政権を取らせたら、国民が不幸になる」。街頭では古巣の批判に長い時間を割く。

 民主党の小沢一郎代表代行とは自民党時代から政治行動を共にした。たもとを分かつ際には確執もささやかれた。旧自由党と民主党の合流を「国家にとって悪いことをした」と悔やみ、「小沢私党に政権を与えたら、権力の二重構造になる」と矛先を向ける。

 参院議員4人、前衆院議員1人の小所帯。政党としての存続を懸けて、ただ1人の公認候補の議席確保に全力を注ぐ。


■くら替え出馬挑む 田中康夫新党日本代表

新党日本の田中代表

街頭演説を終え有権者と握手する新党日本の田中代表=横浜市

 参院からくら替え出馬し、公明党の大物候補に挑む。「しがらみと無縁の政治を」が売り。衆参合わせても1議席のミニ政党。全国6ブロックに8人を擁立したが、まずは自身の当選が最優先の「背水の陣」だ。

 作家や無党派知事として培った知名度が最大の武器。比例候補の応援でも「田中康夫の新党日本です」と連呼し、「脱ダム宣言」など知事時代の改革実績を強調する。

 民主党の小沢一郎代表代行と親交が厚く、政権交代が実現すれば入閣もうわさされる。一方、連合の支援を受ける民主党を念頭に「野党の大半は労働組合の派遣議員だ」と批判、「非組織」を無党派層に訴えかける。