第45回衆議院議員選挙 > 党首は何を訴えたか

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党首は何を訴えたか

■比重増す民主批判―自民 埋没懸念で独自色―公明

 30日投開票の衆院選は最終盤を迎えた。各党の党首は全国の有権者に何をアピールしたのか、これまでの発言を追った。

 ▽景気と安保に自負

 麻生太郎自民党総裁(首相)

 「麻生降ろし」をめぐる党内の混乱を受け、18日の公示後第一声から冒頭で陳謝を繰り返す。小泉純一郎内閣では総務相や外相として首相を支えたが、構造改革路線への厳しい批判を踏まえ、選挙戦では「行き過ぎた市場経済原理主義からの決別」を宣言。逆風の中で「政権ではなく政策を選んでほしい」と訴え続けてきた。

 取り上げるテーマの大きな柱は景気対策。首相就任後、4回の予算を編成し、先行きに明るさが出てきたと指摘する一方で「民主党のマニフェスト(政権公約)のどこに経済成長戦略が書いてありますか」。同時に「日本経済は全治3年で道半ば」とおきまりのフレーズで政権継続の必要性を説いた。

 安全保障問題にも必ず言及する。北朝鮮貨物検査特別措置法案に民主党が反対、廃案になったとして「一番喜んだのは誰か。北朝鮮だ」。核実験やミサイル保有、拉致問題を列挙し、脅威に対抗できるのは自民党政権だけと繰り返してきた。

 劣勢を意識し、演説内容は攻撃色が強まっている。民主党が国旗2枚を切り張りしてつくった党旗を集会で掲げた問題では「日本の国旗を破いて自分の党旗にしてしまう。ふざけているでしょう」と非難。さらに「われわれは革命を起こす気などない」「家族、郷土、日の丸を守るのが保守の保守たる一番大事なところだ」と呼び掛け、民主党に流れつつある保守票の奪還を狙う。

 ▽政策実現で独自色

 太田昭宏公明党代表

 「雇用調整助成金、定額給付金...。暴風雨のような状態でぶれずに戦い、やり切ったのはわれわれだ」。連立政権最大の危機に直面し、与党の「一貫性」と「実行力」に理解を求める。

 街頭に立てば、民主党に対し「財源なき政策」「危うき安全保障」「党首2代の献金偽装」とあらゆる分野で批判を展開。月2万6千円の子ども手当を打ち出したことにも「4回にわたる児童手当の拡充に全部反対した。共産党でさえ2回賛成した」と"変節"を指摘する。

 二大政党に埋没しかねないとの危機感は強く「子育て支援でも公明党の主張にほかの政党が近寄ってきた」「生活実感がわかるのは公明党だけ」と独自色発揮に懸命だ。

 ▽税金を国民の手に

 渡辺喜美みんなの党代表

 「政権交代勢力の中で、霞が関と真っ正面から戦うノウハウを持つのはわれわれだけだ」。行政改革担当相として公務員制度改革に取り組んだ経験を生かし「税金を国民の手に取り戻そう」と主張。自公政権への批判票を狙い「政権交代勝手連」を名乗り「民主党に遠慮なく正しいことを言う勢力が必要」と訴える。

 ▽民主党政権に反対

 渡辺秀央改革クラブ代表

 「経済が良くなりつつあるのは自公連立政権の成果。花を咲かせる段階での選手交代はナンセンスだ」。民主党代表だった小沢一郎氏の党運営に反発し離党しただけに、演説では必ず与党支持を表明。「民主党政権ができたら日本は駄目になる」「外国から攻められない環境づくりが大事」と保守層取り込みを図る。


■外交安保に触れず―民主 現実の政治動かす―共産

 圧倒的優勢が伝えられる民主党は投票日に向けラストスパート。他の野党は埋没を恐れ、存在感発揮に懸命だ。

 ▽圧勝報道に余裕も

 鳩山由紀夫民主党代表

 「官僚に丸投げする国民不在の政治ではなく、国民が主役の政治を」。自民党を離党して16年。目前に迫った「政権」をたぐり寄せる。

 街頭演説では、天下り団体への税金投入や社会保障費削減を挙げ「国民の気持ちを無視した」と与党を集中攻撃。「上から目線」と批判された麻生太郎首相を意識し「一人一人が政策づくりに加わる新しい政治に変えよう」と呼び掛けた。

 自民党が掲げる「責任力」のスローガンを逆手に取り「政治は結果責任。自公政権にこそ責任を取らせよう」と与党を追及。民主党圧勝の勢いとの報道には「油断は禁物」と上滑りを警戒しつつ「目指すのは二大政党の政治。自民党によみがえってもらうのが望ましい姿だ」と余裕もみせた。

 政策面では、有権者の関心が高い子ども手当や年金問題を力説。一方で、連立を想定する社民党との隔たりが大きい外交・安全保障問題にはほとんど触れず、擦り合わせは選挙後に先送りした。

 代表就任当初は「政権獲得から4年間は議論する必要がない」としていた消費増税は、衆院選マニフェスト(政権公約)発表時に「議論はするべきだ」と修正。選挙期間中は「4年間は税金の無駄遣いをなくすことに全力を挙げ、増税しない」と安全運転に徹した。

 「保守色」を前面に押し出す麻生首相の戦略には、自民党を結党した祖父・鳩山一郎元首相の名前を出し「DNA」で対抗してみせた。

 ▽建設的野党を宣言

 志位和夫共産党委員長

 衆院選後の民主党中心政権を想定し「良いことには協力し、悪いものには反対する。現実政治を前に動かす建設的野党となる」と宣言した。街頭での演説はしばしば30分を超えるが、炎天下でもネクタイを緩めず、「ですます調」の演説スタイルを崩さない。

 自公政権を「派遣労働者やお年寄りら弱い立場の人を切り捨てた。退場を求める国民の声は圧倒的だ」と酷評。民主党を「消費増税や憲法9条改定を志向し、日米同盟や財界主導政治から抜け出す意思がない」と批判、二大政党と一線を画す。

 ▽護憲と生活に力点

 福島瑞穂社民党党首

 2003年衆院選で惨敗、辞任した土井たか子氏から党首を引き継いで以来、最大の正念場を迎える。「憲法9条を変えたくない人は社民党に入れてほしい」。非核三原則の法制化や自衛隊の海外派遣反対を訴えてきた。「小泉構造改革の間違いを真っ先に批判したのが社民党」と強調し、労働者派遣法の抜本改正や公立病院の存続を主張。民主党の掲げる高速道路無料化や子ども手当に懸念を表明するなど、選挙後の連立をにらんで独自色の発揮に腐心する。

 ▽郵政民営化を批判

 綿貫民輔国民新党代表

 自民党幹部の座を投げ捨て新党を立ち上げたのが4年前。一貫して小泉構造改革批判を展開してきた。今回も「福祉国家、共生社会がずたずたに切り刻まれた」と痛烈に非難。自民、民主両党のマニフェスト論争を「『花咲かじいさん』のような話。小泉改革のように泥沼になったらどうするのか」とけん制する。

 ▽「改国」で脱官僚を

 田中康夫新党日本代表
 
 長野県知事時代の「脱ダム宣言」など、改革に取り組んだ実績を強調。「官僚統治、中央集権の既得権益社会を根底から改める『改国』を」と繰り返した。民主党の推薦を受け小選挙区で立候補したが、無党派層取り込みを狙い「新党日本はしがらみと無縁」と指摘。連合を支持母体とする民主党との違いも訴えた。