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衆院選連載企画「ルポ 改革のあと」5回続きの(4)郵便局
「廃局」恐れる郵便局長 「郵便局」
「2人局の局長の頭には、常に『廃局』の2文字がある。そうならないための仕事をするだけです」。埼玉県秩父市の山間地にある上吉田郵便局の局長、山口実(やまぐち・みのる)さん(53)には、常に危機感がある。

局長を務める上吉田郵便局の前で利用客と談笑する山口実さん(左)=7月、埼玉県秩父市
2005年の前回衆院選で最大の争点だった郵政民営化。民営化前は「特定郵便局」だった上吉田局の局員は山口さんを含め2人だけ。それでも貯金や保険には営業目標が設定され、結果は明確に損益として出る。
担当する約700戸の多くは高齢者世帯。でも言い訳はできない。「目標が達成できないことが続くと、会社におんぶしている局だと感じてしまいます」
上吉田局の1日の利用者は多くても50人程度だが、貯金や年金の受け取りなど住民の生活を支える"命の綱"だ。
無職坂本幸英(さかもと・よしひで)さん(69)は自宅から車で3分ほどの上吉田局をよく利用する。「年寄りに現金自動預払機(ATM)は使えない。上吉田局がなくなるのは絶対にだめ」
「民営化には反対ではない。でも、地域の皆さんにサービスを提供する態勢を守らないといけない」という山口さん。局存続のため、軽自動車で営業に走り回る毎日だ。
民営化は、利用者の生活も変えた。高知県東部の芸西村に住む農業の女性(68)は長年、大好きな通信販売の支払いを郵便配達員に依頼していた。現金と払込票を渡し、送金を代行してもらう"サービス"。だが郵便、貯金、保険に分社化され、配達員は金融業務が扱えなくなった。
今は約10キロ離れた郵便局に車で行く。「田舎が見捨てられている。車に乗れなくなったら、ここに住めなくなってしまう」と不安をのぞかせる。
民営化に伴う郵便局再編で、高知県では71あった集配局のうち、過疎地を中心に27が窓口業務のみを扱う「無集配局」となった。高知市の郵便局に勤務する男性社員(51)は、その結果「配達の遅れや誤配が目立つようになった」という。「住民へのサービスは確実に低下した。何のための民営化だったのか」。怒りが収まらない。
郵政民営化 小泉純一郎元首相が「改革の本丸」と位置付けた。郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業を担った旧日本郵政公社が2007年10月、郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、窓口営業を受託する郵便局会社に分社化された。持ち株会社の日本郵政がこれら4社を束ねる。
(08/12)
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