キャバクラ嬢が労組結成へ 待遇改善求め、年内にも準備委
キャバクラユニオン」(仮称)の結成について話し合う「フリーター全般労組」のメンバーら=11月下旬、東京都新宿区
キャバクラで働く女性に対する賃金未払いや、従業員らからのセクハラなどが深刻な問題になっているとして、東京のキャバクラに勤務していた女性らが中心となり、待遇改善を求めて労働組合「キャバクラユニオン」(仮称)を結成することになった。関係者が1日明らかにした。
東京の個人加盟労組「フリーター全般労組」の分会として発足させる方向で、12月中にも準備委員会を都内で開く。
キャバクラ嬢らによる労組結成について連合は「聞いたことがない」と話す。経営者との団体交渉などを通じ、待遇改善などを目指すほか、女性たちが安心して働けるよう、支援や相談に応じる窓口としても機能させたいとしている。
フリーター労組によると、今年に入ってキャバクラ嬢らから賃金未払いなどの相談が相次いで寄せられた。「指定した日に客を呼べなければ罰金数万円」「15分遅刻で罰金千円」など、労働基準法(制裁規定の制限)に違反するとみられる例も多いという。女性たちが個別に交渉するのは限界があるとして、専門分会として立ち上げる方針を固めた。
名古屋市の地域労組「名古屋北部青年ユニオン」にも、店を辞めようとしたキャバクラ嬢が「罰金が未払い」として、店から数十万円を請求されたとの相談があった。
キャバクラ嬢は最近、若い女性の人気職業とされ、関連雑誌やテレビ番組などが話題を集めた。
ユニオン結成の中心になっている女性は、勤務していた店が賃金の一部を支払ってくれない上、男性従業員らから悪質なセクハラを受けたなどとして、東京都の労働委員会に救済を申し立てた。女性は「さまざまな悪条件も『夜の世界では当たり前』と店や同僚からも言われた。キャバ嬢たちが泣き寝入りしないよう、労組を支援の窓口にしたい」と話している。
人気の背景に就職難も
きらきらのドレスで着飾り、ヘアスタイルは流行の盛り髪。そんなイメージが強いキャバクラ嬢は、最近の調査で10~20代女性の「なりたい職業」の上位に入ったこともある人気職業とされる。
だが背景には、正社員への道が狭い、若い女性の厳しい就職事情もある。支援者らは「華やかな外見に目を奪われず、実態を知って」と訴える。
名古屋北部青年ユニオンの石田進さん(37)がキャバクラ嬢からの相談の増加を実感したのは今年夏ごろ。昨年以降の不況で女性たちが派遣切りなどで職を失い、切羽詰まって「夜の職業」に流れているようだという。
同ユニオンのホームページに掲載されている、ある女性の体験はこうだ。罰金は遅刻が15分千円、当日欠勤は担当者が許可しても1万円。労働条件は口頭でしか説明がなく、客からも暴力をふるわれた。女性は「似たような例をほかにも聞いた。誰かの役に立つなら、私の例を載せてください」と申し出たという。
やはり「今年に入りキャバ嬢の相談が増えた」というフリーター労組共同代表布施えり子さん(28)は「就職希望者が多いから買い手市場となり、一部の店は労働基準法を無視した“無法地帯”化している」と話す。
石田さんは「危険な面もある世界だと、働く側も認識すべきだ」とする一方「当事者がネットワークを強めて情報交換すれば支え合えるのでは」と、キャバクラユニオンの活動に期待を寄せる。
若者の就労に詳しい都留文科大の後藤道夫教授(社会哲学・現代社会論)は「最近の雇用情勢は若い女性にとって極めて厳しい。限られた職種の中で、短期で金が取れる、会話だけで何とかなる、と考えてキャバクラを選ぶのだろうが、実際に会話だけで稼げる人は一握りだろう。労働実態に光を当てていく必要がある」と指摘している。
作家の雨宮処凛さんの話 わたしも10年ほど前にキャバクラで働いた経験がある。罰金などは以前もあったが、現在はエスカレートし、労働基準法違反やセクハラがまかり通っていると聞いている。相談しようにも「キャバ嬢だから」と世間から理解が得られず、泣き寝入りしている人は多いはずだ。組合などの窓口に相談して、自分が置かれている環境が違法であることを認識できるだけでも、現在よりは前進と言えると思う。
2009/12/07 【共同通信】

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