北朝鮮の主張
北朝鮮外務省は5月29日、国連安保理が北朝鮮制裁決議を準備していることに対して、「制裁決議が採択されればさらなる自衛的措置が不可避」とする報道官談話を発表した。ここには、国際社会の批判も顧みず、核実験を強行した北朝鮮の主張や言い分が、やや詳しく盛り込まれている。以下は、(1)これを同日報じた共同通信の現地発の記事と(2)報道官談話要旨、それに(3)日本の朝鮮総連広報室が30日夕になって公表した報道官談話の日本語訳全文である。(47NEWS編集部)
(1)共同通信の記事
【平壌29日共同】北朝鮮の外務省報道官は29日、2回目の核実験実施に対し国連安全保障理事会が決議や決定を出しても「認めない」と言明、制裁決議などが採択された場合は「さらなる自衛的措置が不可避となる」と警告する談話を、朝鮮中央通信を通じ発表した。
報道官はまた、今回の核実験は「衛星打ち上げ」に対する安保理議長声明やその後の制裁に対する「自衛的措置の一環」と強調。「事態がここ(核実験)まで進んだのは、米国と追従勢力にすべての責任がある」と述べ、米国などを非難した。
さらに北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)やミサイル関連技術輸出規制(MTCR)などの国際法の規制を受けずに「国家の最高利益が侵害される場合には、核実験やミサイル発射をいくらでも行う権利を有している」と主張した。
「さらなる自衛的措置」について報道官は「安保理の敵対行為は朝鮮戦争休戦協定の破棄を意味する」と指摘、制裁決議などが採択された場合、休戦協定破棄を表明する可能性を示唆した。
2009/05/29 19:22 【共同通信】
(2)北朝鮮外務省の談話要旨
【平壌29日共同】北朝鮮が29日に発表した外務省報道官談話の要旨は次の通り。
一、わが国は国家の最高利益が侵害される場合には、核実験やミサイル発射をいくらでも行う権利を有している。
一、核実験は国連安全保障理事会の強盗的行為(4月のミサイル発射に対する議長声明など)に対処して講じた自衛的措置の一環だ。
一、事態がここまで進んだのは、米国と追従勢力にすべての責任がある。
一、今後も安保理の決議や決定を認めない。
一、安保理がこれ以上の挑発を行う場合、さらなる自衛的措置が不可避となる。
一、安保理の敵対行為は、朝鮮戦争休戦協定の破棄を意味する。
一、世界は今後直ちに、わが軍隊と人民が安保理の強権と専横にどのように対抗し、自国の尊厳と自主権を守るか見ることになるだろう。
2009/05/29 19:26 【共同通信】
(3)北朝鮮外務省の談話全文
5月25日、われわれが核実験を成功裏に行ったことに対して国連安全保障理事会が「決議1718号」の違反だと言い掛かりを付け、再びわれわれに制裁を加えようと集まった。
核兵器のない世界をつくることは人類の切実な念願である。しかし、この世界に核兵器が初めてできてから60年が過ぎ、冷戦の終焉から20年が過ぎようとしている今日に至るまで、歴史はその念願とは正反対に流れてきた。
われわれはこの数十年間、朝鮮半島の非核化のためにあらゆる努力を尽くしてきたが、米国は核による脅威を実際に除去するどころか、その度合いを絶えず高めてきたし、ついには一般的な権利である人工衛星の打ち上げを口実に9.19共同声明の基本精神である自主権尊重と主権平等の原則を乱暴に踏みにじり、6者会談まで崩壊させてしまった。
現在、一部の国がわれわれの2度目の核実験に驚きを表しているが、ただならぬ行動には、ただならぬ理由があるものである。
今回、わが国が行った核実験は地球上で2054回目に行われた核実験である。すべての核実験の99.99%を国連安保理常任理事国の5カ国が行った。
世界でもっとも多くの核兵器を保有しているこれらの国が、2006年10月にわれわれが米国の増大する核脅威に対処して自衛的措置として断行した最初の核実験を「国際平和に対する脅威」であると言い掛かりを付けてつくり上げた反共和国制裁決議がまさに、国連安保理「決議1718号」である。
偽善者がつくり上げたこの「決議」は、出されると同時にわれわれの全面的な排撃を受けた。今も、われわれはこのような決議を絶対に認めない。
このような国連安保理が4月14日には、唯一われわれの平和的な衛星の打ち上げだけを問題視する「議長声明」をつくり上げ、24日には「決議1718号」に沿う制裁を発動することによって、朝鮮人民の尊厳を耐えがたく冒涜し、共和国の自主権を甚だしく侵害した。
わが国は核拡散防止条約(NPT)やミサイル関連技術輸出規制制度(MTCR)の外にある国であって、国家の最高利益が侵害される場合、核実験やミサイル発射をいくらでも行える権利があり、このような正当防衛措置はいかなる国際法にも抵触するものはない。
国連安保理がひとつの主権国家の平和的な宇宙開発の権利を乱暴に踏みにじるような前代未聞の罪を犯しても反省するどころか、自分たちの罪を隠ぺいしようと先に声を上げている状況にあって、われわれは予測しえない今後の事態の展開に対する責任をはっきりさせるために、この時点で今の対決の境目を明白にしておくものである。
第一に、われわれの今回の核実験は、決して許されることのない国連安保理の強盗さながらの行為に対処して、われわれが世界に公開したことに沿って取った自衛的措置の一環である。
忍耐にも限界がある。事態がここまで至った全責任は、われわれの平和的な衛星打ち上げを国連に持ち込んで非難した米国とそれにへつらい追従した勢力にある。
これらの国は、われわれの前では衛星打ち上げが主権国家の自主的権利であると言っておきながら、いざ衛星が打ち上げられると国連でそれを糾弾する策動を行った。
これらの国が「キー・リゾルブ」、「フォールイーグル」合同軍事演習のような大規模な核戦争演習が朝鮮半島の縦深で行われている時は沈黙し、われわれがやむを得ない自衛的措置として行った核実験に対しては「地域の平和と安定に対する脅威」であると口をそろえて騒ぎ立てている。
自分たちだけが持っているものをわれわれが持つのは嫌だということである。結局、小国は大国に服従しろということである。
われわれは領土も小さく人口も少ないが、政治・軍事的には堂々たる強国であるという自負と胆力を持っている。
第二に、われわれは、国連安保理が宇宙条約を乱暴に犯し、主権国家の自主権を甚だしく侵害した自分たちの罪を謝罪し、不当につくり上げたすべての決議と決定を撤回することを厳粛に要求した。この要求は依然として有効である。
「国際平和と安全に対する脅威」が何なのかを規定する権限が、拒否権と核を持つ五つの常任理事国にだけ与えられている限り、国連安保理は彼ら自身の威嚇行為についてはいつになっても問題視することができないようになっている。
国連安保理がわれわれの正当な要求に応じない限り、われわれは今後も理事会の決議と決定を認めないであろう。
第三に、国連安保理がさらに挑発する場合、それに対処するわれわれのさらなる自衛的措置が不可避となろう。
世界的範囲で冷戦が終わったとはいえ、それは大国間に限ったものであって、朝鮮半島では冷戦がそのまま持続している。
国連安保理がつくり上げた「国連軍司令部」がまさに、朝鮮停戦協定を締約した一方となっている。国連安保理の敵対行為は停戦協定の破棄となる。
世界はやがて、わが軍隊と人民が国連安保理の強権と専横に対してどのように最後まで立ち向かいみずからの尊厳と自主権を守るかを目の当たりにすることになるであろう。
米国は、口を開けばニンジンとムチについて語るのを好むが、ニンジンは民主党のロバにでも食べさせればいい。 2009/05/30 18:16 【在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部広報室】
