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幸福の招き猫電車

2017/11/10

幸福の招き猫電車

(上)三軒茶屋駅に到着した招き猫電車、(下)つり革も招き猫

 ラッピング電車にもいろいろある。大阪支社に勤務していたころ、関西の私鉄で「パト電」を見て感心した。警察のパトカーそっくりの白と黒の車体。交通安全や防犯キャンペーンに一役買っていた。

 サイレンは鳴らないがインパクトは十分。琵琶湖のほとり、滋賀県大津市内を走る京阪・石山坂本線のパト電はプラレールにもなった。近江鉄道でもパト電を見かけたが、ネットで検索してみたらあちこちに例がある。何と言ってもパトカー。ラッピング電車の中で最強か。

 と思っていたら、考えようによってはもっと強そうなラッピング電車が登場した。東京都世田谷区の東急世田谷線の「招き猫電車」だ。東急電鉄のリリースによると、世田谷線の前身で「玉電」の愛称があった玉川線が、1907年に渋谷~玉川(現二子玉川)間が開通して110年になるのを記念したイベントの一つ。沿線にある豪徳寺が招き猫発祥の地とされることにちなみ、招き猫のラッピングを施した。正式には「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」と呼ぶ。

 車体の正面は愛嬌のある猫の顔。側面にも何体もの招き猫が描かれ、海外からのお客さんを想定してか「welcome」の吹き出しも。車内に足を踏み入れて驚いた。つり革までが招き猫。よくできたデザインと、なりきりぶりに感心した。ちなみに床には猫の足跡が点々と描かれている。




宮の坂駅付近を走る

 豪徳寺の招き猫は江戸時代の初期、彦根藩井伊家の当主が猫に招き入れられて寺に入り、雷雨を避けることができたとの由来が一般的のようだ。以来、豪徳寺は井伊家の菩提寺となり、桜田門外の変で暗殺された大老、井伊直弼の墓もここにある。ちなみに当主を招き入れた猫こそ、ご当地ゆるキャラのさきがけ、滋賀県彦根市の「ひこにゃん」のモデルだ。

 招き猫電車の運行は2018年3月末までの予定。豪徳寺へは宮の坂駅で降りて徒歩5分ほど。奉納された招き猫がずらりと並ぶ様子は見ごたえ十分。晩秋の紅葉は都内でも屈指の美しさだ。

 ☆共同通信社編集局企画委員 美浦克教

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