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魅力たっぷり武蔵野線

2017/09/29

魅力たっぷり武蔵野線

(上)武蔵野線の205系(左)とすれ違う貨物列車、(下)武蔵野線を走る貨物列車

 東京の郊外を大回りする「東京外環自動車道」の数キロ外側を、JR武蔵野線が走っている。かなり個性的で面白い鉄道路線だ。旅客線は府中本町(東京都府中市)から南浦和(さいたま市)を通って西船橋(千葉県船橋市)までの71・8キロ。

 おおざっぱに言えば、東京都心部から郊外や地方都市へ向かって放射線状に延びる各路線の快速や急行に乗って30~40分ぐらいの土地を、半円を描くようにぐるりと結んでいる。さらに武蔵野貨物線が府中本町から鶴見(横浜市)まで延びている。

 武蔵野線の魅力の一つは高速走行だ。とにかく走りが心地よく、電車は素晴らしいモーター音を響かせる。走りを堪能するために、乗車の際は205系のモーター車をお薦めしたい。山手線や埼京線などから引退した205系は、ここ武蔵野線では主力車両として爆音を聞かせてくれる。

 筆者が乗った205系は、低速から約50キロに達するまで、どこか気だるいというか眠たそうな音を発していた。かつての101系や111系を思い起こさせる“音の要素”を感じさせ、山手線や埼京線で記憶した205系の音とは異なるが、味のある音色だ。

 205系はそのままぐんぐん加速し、やがて時速90キロぐらいの高速走行がしばらく続く。全力という言葉がぴったりの走りなのに、無理しているようには感じられない。おそらく、大半がロングレールなのでレールのつなぎ目で生じる「ガタン、ゴトン」というジョイント音や車両の揺れが少ないためだろう。面白いことに結果として、ポイントを通過するときのジョイント音が際立つようになり、これが実にかっこいい。

 背景には、高速走行の条件がそろっていることがある。もともと山手貨物線を迂回(うかい)する貨物線として計画され、人口密集地を避けるように建設された。カーブは緩いし、後から旅客化されたためか駅間距離が長い。割と新しい路線ということもあって、踏切はゼロ。東京近郊の他路線に比べてダイヤに余裕がある。




武蔵野線の主力電車205系

 貨物列車が多いことも武蔵野線の魅力といえる。新座と越谷には貨物ターミナルがそびえ、東北、常磐、総武など他路線との連絡線が数多く存在する。これらの施設を窓からながめるのも楽しいし、途中駅のホームに降りたって、通過する貨物列車を見物するのもいい。貨物列車の時刻を知らなくても心配無用。頻繁に走っているので出会う確率は高い。

 高架区間が多いおかげで眺めが良いし、沿線には知る人ぞ知る古刹や古道、企業の見学施設があり、休日の小旅行に向いた穴場的な路線といえる。

 ☆寺尾敦史(てらお・あつし)共同通信社映像音声部

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