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2012/02/13

マエストロに聞く「驚異の内定率」の秘密

マエストロに聞く「驚異の内定率」の秘密

 -Ticket to Ride.


就活についていろいろ取材し、考えている筆者(浜村)が私淑している先生がいます。

東京女学館大学の西山昭彦教授がその方。何しろ理屈だけでなく実績が際立っています。この8年間の西山教授ゼミの累計内定率は95.4%。しかも東証一部上場企業やそのグループ会社が少なくないというのですから驚きです。これはやはり直接、教えを乞わなくてはと思い、「驚異の内定率」の秘密についてじっくり話していただきました。

【お知らせ】
西山教授がパネルディスカッションのコーディネーターを務める「就活シンポジウム」が3月14日午後に東京・六本木で開かれます。詳しくはこのページの末尾をご覧ください。

-先生は民間企業(東京ガス)の出身で、ハーバード大などに留学され、社内ベンチャーを興すなど様々なことを手掛けてこられました。専門は経営学ですね。

「経営学の人材育成論が専門です。サラリーマンを相手に研修をやってきたんですが、それを大学に置き換えて実践しているわけです」

-学生からよく「私って、全然ふつうなんですけど、ちゃんと就職できますか」と質問をもらうんです。これって、大丈夫ですよね。何とかなりますよね。

「何とかなるんですよ。人材を見るときに2つの軸を考えればいいと思います。地頭の良さという軸と人間力の高さという軸です。これを両方持っている人はスーパーマンです。そういう人は全体の数%しかいません」

-仕事の上では、むしろ人間力が大事ではないかという気がします。

「例えば、地頭がいいというだけではブランドショップの店長をやっても売り上げは上がりません。でも人間力があれば売れるという側面はありますね。この人間力は教育、指導によって伸ばすことができます」

-具体的にどう伸ばしていくのでしょうか。

「最初に申し上げておきますが、就活は小手先のテクニックではだめです。学生が自分で問題を設定し、調べて解答を作成し、発表して周囲に理解させるというスキルを、1年生の時から時間をかけて向上させる必要があります。このスキルはその後社会で自立して生きる力そのものなんですよ」

-少人数クラスでないと難しいやり方ではないでしょうか。

「おっしゃる通りです。双方向の授業で、議論、発表の比率を高めなくてはならない。1年目はあてられても答えられない。でも、2年目になると何となく話せるようになって、3年目は自信を持って発表できるようになります。毎日、面接をやっているようなものです。大学によってはゼミに入れるのが、全学生の3分の1しかいないケースもあります。下手をすると、4年間、大教室に座るだけ。これでは学生は伸びないと思います」

-授業内容の一部を披露していただけますか。

「経営学の講義は理論書を使うのが普通ですが、私は学生が入りやすいようにヒューマンヒストリー、すなわち経営者が書いた本をテキストにします。例えば、現在、横浜市長を務めておられる林文子さんの著書。高校を卒業してから、セールスウーマンとして活躍する様子や社長時代の経験、考えなどが書かれています。東大卒のキャリアの話より、高卒でランクアップした姿の方が、女子学生には共感しやすい。林さんは本学の客員教授でもありますから、大学に来てもらって、実際に学生に話をしてもらいます。その後、講義では参加した学生全員に感想の短時間のプレゼンをさせます」

-ほかにはどのようなことを。

「学生を外部の世界と接触させる必要があります。やっぱり、大学内では学生は守られている存在なんですよ。講義では働く女性が毎週来て仕事や人生の話をし、学生と質疑応答をします。私のゼミでは地元ケーブルテレビの番組制作をしたり、外部のビジネスプランコンテストに応募したりします。市場の中で取り組み、評価されて初めて気付くことが多いのです。就職支援は、世間でもまれて鍛えられる延長線上にあるということを強調しておきたいですね」

-西山先生は就活をかなり肯定的にとらえているようにお見受けします。

「勉強を阻害するので就職活動は良くないという議論がありますが、私は疑問に感じますね。なぜなら、就活には『生きるための力』が全て入っているからです。半年程度の就活期間で鍛えられると、学生は別人のようになります。ものすごく大人になる。大教室に座っている何倍もの向上が見られます」

-「就職支援はキャリアセンターの仕事」と考える教員が、一般的には多いようですが。

「学生のことをよく知っている指導教官が、就活に関わるのは当然だと思います。就活は、ビジネスの基本である『PDCAサイクル』そのものなんです。PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACT(改善)という流れ。しかも採用、不採用の審判が最後には下るという真剣勝負ですから、本当に生きた学びの場になると思います」

-実際の就職支援では、まず何を心がけておられますか。

「学生の適性を見極めるようにしています。何をしたいのか何ができるのかですね。自己分析、個人面接で、職種の選定を促進します。放っておくと学生は今まで生きてきた狭い世界で就職を考えるので、誰でも知っている会社、人気の職種に志望が集中します。人気企業ランキングの上位に来るところは、採用数に対して志望者は数百倍ですから、これはもう、内定は宝くじに当たるようなものです」

-確かに学生の人気企業はBtoCばかりです。

「BtoBの会社は全然知らない。こんな風に説明するんですよ。みんなが知っている洗剤を例にして、瓶、ラベルはどこがつくっている?広告は?などと話をします。それから『就職四季報女子版』(東洋経済新報社)を枕元に置くように言います。ぼろぼろになるまで読むと知らなかった業界が見えてきます」

-大規模な合同説明会には行くように勧めますか。

「必ず行かせます。人気企業などではブースで説明を聞くのに2時間待ちとかになりますよね。それで学生は現実を知ることができる。本学は東急東横線の南町田が最寄駅です。朝の上り(渋谷方面行き)は、ものすごく混みますよね。座ることなどできない。これが人気企業。でも、南町田に来る下り電車は全員座ることができる。これがBtoB企業のエントリーだという例え話をします。ほかにも大企業のグループ会社など、経営がしっかりしているのにエントリーがあまり集まらないところが狙い目です」

-学生の意識を変えるのは大変でしょうね。

「女子大なので例えばウエディングプランナーの希望者がすごく多いんです。でも、華やかさの裏にある仕事の厳しさは知らない。人生を受け止める仕事だから大変ですよね。打ち合わせは客次第なので、土日もないし夜も遅い。結婚式は人生の節目ですから、クレームの山です。それでも大丈夫かと志望動機を問い詰めます」

-模擬面接などは実施しますか。

「やります。仮のESの作成もさせます。いずれも本人にフィードバックします。SPIは1回みなで模試をやります」

-最近、学生からバブル期かそれ以前に就活をやった親と自分の感覚が違いすぎるという話というか、ほとんど悲鳴のような声を聞きます。
 
「親は意識を変えなくてはなりません。40代のお母さんで短大卒、東京・丸の内にある大企業の一般職に受かった人が正しく見ていないケースがあります。例えば大手商社が500人の一般職を採用していた時代と今は、全く違うんです。採用なしか数十名までです。あるいは、転勤なんかがある総合職はだめ。アパレルはだめ。販売はだめとか。こういう『丸の内一般職幻想』を捨ててもらわなくてはならない」

-就活で最も大事なことは何でしょうか?

「忍耐力です。平均倍率が10倍だとすると、10社受けてようやく1回合格する計算。でも3、4社落ちると『もう駄目…』となってしまう学生がいます。落ち込まない力こそが必要です。会社選びで重要なのは組織風土に合うかどうかです。職場や社員から感じるものなのです。合う会社は必ずありますから、粘り強く探してほしいと思います。」

-最後に3月に開かれる就職シンポジウムについて。女子大が集まって開催する意味はなんでしょうか?

「就職活動には女子大生固有の問題があります。例えば、総合職の中で採用人数が少ない、モデル的先輩が社内に少ない、一般職も受けられる、出産、育児という選択肢が多い-などです。そこで、女子学生に焦点を絞っての議論、支援が有効になります」


【女子大学合同就職・就業シンポジウム】

東京女学館大学、昭和女子大学、白百合女子大学、東洋英和女学院大学の4女子大の共催。
入場無料。事前申し込みが必要。

◇日 時 : 2012年3月14日(水) 14:00~17:00  (13:30開場)
◇場 所 : 東洋英和女学院 六本木校地 本部・大学院棟201教室 
◇参 加 : 無料
◇定 員 : 100名 
◇申し込み方法
  E-mailよる事前申込制。
  件名を「女子大シンポジウム申込」とし、氏名・所属・部署名を記入の上、
  s-program@m.tjk.ac.jp まで送信してください。(申込期限:3月9日)
◇ご案内ページ http://www.tjk.ac.jp/news/895.html