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日本酒 津々浦々

17年09月10日 22:34


【3056】女鳥羽の泉 山廃 純米(めとばのいずみ) 【長野】

長野県松本市 善哉酒造
長野県松本市 善哉酒造

【H居酒屋にて 全3回の②】

 なじみのH居酒屋の店主から連絡が入った。「新しい酒が3本入りましたので、いらしてください」。一般的な居酒屋の酒メニューは、酒名と値段の羅列。これだと、ふつうの客はその酒がどんな酒なのか分からない。ということで、わたくしが、どんな酒質なのか1行コメントを付けた酒メニューをつくってあげている。その“取材”に来い、というわけだ。

 加えて、3本のうち2本が、わたくしにとって初めての蔵の酒だ。わたくしは全国の現役蔵の酒を飲むことを目標にしている。H居酒屋の店主は、それに協力してくれており、わたくしにとっての初蔵の酒をせっせと探し、取り寄せてくれているのだ。

 今回、初めて見る銘柄は「女鳥羽の泉 山廃 純米」。見るのも聞くのも初めての銘柄だ。ありがたい。うれしい限りだ。感謝感激だ。さて、いただいてみる。

 酒蛙「さらっとした飲み口で、酸がある」
 店主「うむ、意外にさらっとしている」
 酒蛙「すこし昭和レトロ的熟成感的香味がある。山廃由来の複雑香味か」
 店主「おもっていたより酸が立っている」
 酒蛙「うん、山廃由来の酸が立つ。さっぱり、すっきり。夏酒っぽい」
 店主「そうそう、夏酒のイメージ。“地元の酒”って感じ」
 酒蛙「そうだね。エレガントじゃないけど、いい」
 店主「想像通りの味かな。だんだん昭和レトロ的熟成感的香味が強くなっていく」
 酒蛙「甘みも出てくる」
 店主「“ふるさとの酒”って感じ」
 酒蛙「酸が出ているので、飲み飽きしない。宴会酒にいい。飲み進めていくと、だんだん味がしっかりしてきた。味が出てきた」

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。湯煎で、温度はちょうど40℃。

 酒蛙「上立ち香が昭和レトロ的熟成感的香味」
 店主「酸が立っている」
 酒蛙「酸がかなり立っている」
 店主「香りは古酒的。酸が、さっぱりすっきりした飲み口にしている」
 酒蛙「軽快な酸だ。ぬる燗にしたらやわらかさが出てきた」
 店主「苦みと辛みも出てくる」
 酒蛙「燗冷ましになったら、苦みと辛みが出てきた。甘みも出てきた」

 瓶の裏ラベルの表示は「原料米 長野県産米100% 米こうじ 長野県産米100%、精米歩合65%」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし、蔵のホームページでは「原料米は長野県産美山錦を使用しております」と開示している。

 また、蔵のホームページは、この酒を「山廃仕込とは」と題し、以下のように紹介している。

「自然のままの乳酸菌を培養育成させながら酒造りに有害な雑菌を死滅させ、清酒を育成させるために役立った乳酸菌も発酵したアルコールによって死滅させるという自然の不思議なサイクルを利用した非常に手間のかかる発酵方法です。このようにしてできたさけはアミノ酸を多く含有し、コクがあり味わい深い酒となります」

 さらに、酒屋さんからこの酒を仕入れたとき、蔵元さんからの、以下のような一筆箋的な説明文が添えられていた。

「女鳥羽川が街中を流れる六万石の城下町松本。かつて松本城が深志城と呼ばれていた頃、礼儀作法『小笠原流』の祖先である小笠原氏が城主を務めており、御用水の誉を得ていた〈槻井湧水〉を引いて来ていたのが泉の始まりと言われています。地下30数メートルより滾々と湧き出る清らかな水を用い、善哉の酒は造られております」

 なお、酒名「女鳥羽の泉」は、蔵のホームページによると、この蔵の仕込水専用井の名が「女鳥羽の泉」で、環境省の「平成の名水百選」に「まつもと城下町湧水群」の1カ所として認定されている。

 蔵名「善哉酒造」は、「ぜんざい」ではなく「よいかな」と読む。大辞林によると、「善哉」の意味は「〔仏典で、仏が弟子の言葉に賛成してほめる語〕 よい言動をほめる語。よいかな。それでよい」とのこと。



長野 | 2017/09/10 | 22:34 | コメント (0) | コメントを書くコメント一覧 |


地方新聞社元記者。唎酒師。本籍・住所・年齢不詳。性別は男。飲んだことのない酒を飲むことと、ぬる燗が趣味。燗つけ器を、なじみの居酒屋に置いて、燗酒を楽しんでいる。酒席での「とりあえずビール」は、ビールにも酒にも失礼だ、といきなり酒を飲み始める。酸味のある濃い酒を好む。毎年、500種類以上の酒を飲んでいる。







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