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日本酒 津々浦々

17年06月08日 23:22


【2924】北の錦 純米大吟醸(きたのにしき) 【北海道】

北海道夕張郡栗山町 小林酒造
北海道夕張郡栗山町 小林酒造

 近所のうなぎ屋さんで時々、酒を飲んでいる。公式に出す酒は、ありふれた地酒3種類ほどだが、酒好きの店主の“隠し酒”が厨房奥の冷蔵庫に鎮座している。せんだって、店主は「次回は、この酒をお飲みいただきましょう」と、ある酒を手に持って見せた。

 銘柄は忘れたが、ラベルの色合いは覚えている。その酒を飲もう、と後日、暖簾をくぐったが、出てきたお酒は“予告”したラベルとは違っていた。「それって、予告酒と違うんじゃないの?」とわたくしが言ったら、なんと、店主もその銘柄を忘れたそうで、「ごめん、ごめん。今回はこれを飲んでちょうだい」。それが「北の錦 純米大吟醸」だった。ま、野球でいえば代打ってとこか。

 店主もわたくしも忘れてしまうなんて、相当マヌケではあるが、探せないほど“隠し酒”の数が多いのだろうか?とおもってしまう。さて、「北の錦」。以前、2種類を当連載で紹介したことがある。しっかりした味わいの酒、という印象を持っている。この酒はどうか。

 上立ち香がほのかに、フルーティーな吟醸香が上品に漂う。含むと、吟醸香がやさしく広がり、果実香が豊かでフルーティー。最初、甘みと旨みが主体のように感じ、中盤から余韻は辛み。この辛みが酒全体の味わいをしっかりしたものにしている。

 飲み進めていくと、次第に辛みが強くなり、味の主体が辛みへと代わっていく。甘旨みと辛みが中心で、しばらくは酸が出て来なかったが、0.5合くらい飲み進めていったら、酸が奥から出てきた。そして、甘旨酸っぱ辛い味わいに。個人的には、もうすこし酸が多く出ても良いような気がする。

 厚みは、厚からず薄からずの中庸。北海道の酒は、ざっくり淡麗辛口の印象だが、この酒は味にふくらみと広がりがあり、いわゆる北海道の酒らしくない。バランス良く、まとまり感のある酒だった。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「『北の錦 純米大吟醸』が、暖簾ラベルとしてリニューアルしました。華やかな洋梨を思わせる香りと、芯の通った深みのある米の旨味のバランスがいいお酒です。ふわりとしたふくらみの後にすっきりとしたきれいな酸が広がります。端麗やや甘口に感じられる、当蔵の高級品です」

 裏ラベルの表示は「北海道産 彗星100%使用、精米歩合45%」。「彗星」は、北海道立中央農業試験場が、母「初雫」と父「吟風」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、2006年に命名、同年に種苗法登録された酒造好適米だ。

 瓶の裏ラベルには、酒造りのコンセプトについて、以下のように説明している。

「創業者小林米三郎は、未開の北の大地で米を育て、その酒で錦を飾ってみせるという熱き想いを胸に明治11年『北の錦』の暖簾をあげました。以来『北海道でしか醸せない酒』を追求し、先人の不屈の開拓魂と、職人の心意気とを、この暖簾に織り込み続けています」

 酒名「北の錦」の由来について、蔵のホームページは「商標の『北の錦』は初代、小林米三郎が北海道のこの地で錦を飾ってやろうという意気込みを表したものです」と説明している。



北海道 | 2017/06/08 | 23:22 | コメント (0) | コメントを書くコメント一覧 |


地方新聞社元記者。唎酒師。本籍・住所・年齢不詳。性別は男。飲んだことのない酒を飲むことと、ぬる燗が趣味。燗つけ器を、なじみの居酒屋に置いて、燗酒を楽しんでいる。酒席での「とりあえずビール」は、ビールにも酒にも失礼だ、といきなり酒を飲み始める。酸味のある濃い酒を好む。毎年、500種類以上の酒を飲んでいる。







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