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日本酒 津々浦々

17年05月13日 11:50


【2893】ひこ孫 純米吟醸 凡愚(ぼんぐ) 【埼玉】

埼玉県蓮田市 神亀酒造
埼玉県蓮田市 神亀酒造

【H居酒屋にて 全6回の④】

 なじみのH居酒屋の店主からメールが入った。「新しいお酒が6種類入ったので、テイスティングにいらっしゃい」。おおっ、それなら行かなければならない。おっとり刀でH居酒屋に向かった。わたくしは、H居酒屋の酒メニューをつくってあげている。ふつうの酒メニューは酒名の羅列だが、これだとお客さんはどんな酒なのかさっぱり分からない。このためわたくしが、酒名の隣に酒質の1行解説を付けたメニューをつくってあげており、これが好評。そのためにはテイスティングが必要、というわけだ。

「隆 純米大吟醸 播州山田錦45 火入 2014年度醸造」「山川光男 2017 ふゆ 生」「高清水 純米大吟醸 和の酒倶楽部」と飲み進め、4番目に選んだのは「ひこ孫 純米吟醸 凡愚」だった。

 かの有名な「ひこ孫」。さぞかし多くの種類を飲んでいるはず、とおもいながら調べてみたら、当連載で取り上げた「ひこ孫」は、「ひこ孫 大吟醸」(当連載【2312】)1種類だけだった。「神亀」は各種取り上げているのに…。これには愕然とした。あの定番中の定番「ひこ孫 純米」も連載で取り上げていなかったのだ。

 変だなあ、とおもい考えてみたら、理由が分かった。この連載を始める以前に「ひこ孫 純米」をガンガン飲んでいたので、てっきり掲載済みだとおもい込み、取り上げていなかったのだ。「ひこ孫 純米」に、ごめんごめん、だ。

 さて「凡愚」。まずは冷酒でいただいてみる。グラスに注いだら色が黄色い。かなり熟成させた色だ。

 酒蛙「古酒香がすごい」
 店主「うん、古酒香がすごいな。でも、キレが良く、さっぱりしている」
 酒蛙「いかにも『ひこ孫』って感じ。やわらかさがあり、甘みと複雑で深い旨みがあり、後から酸がちょっと顔を出す。辛みも適度にあり、全体を調えている」
 店主「ずいぶん熟成しているね
 酒蛙「タイムスタンプ(瓶詰め年月)は2016年5月だから、タンクでかなり長期間熟成させたんだろうな」
 店主「ラベルによると、アルコール分が14度以上15度未満。いくぶん、普通の酒よりアルコール分が低いね。これが『凡愚』のセールスポイントなんだろうか」
 酒蛙「う~む、言われるまで気づかなかった。14度のほかの低アルコール清酒よりは、強めに感じるなあ」

 次に、燗酒でいただいてみる。「ひこ孫」は燗酒が真骨頂だ。50℃の熱燗だ。

 酒蛙「古酒香がものすごく出てくる。酸が非常に立つ」
 店主「独特な古酒風味が広がる。酸が立つ。でも、冷酒とは際立って違う、というほどではない」
 酒蛙「しかし、酸が立ち、旨みも立つ。冷酒のときより味にメリハリが強く出てくる」
 店主「好きな人には、たまらないお酒なんだろうな」
 酒蛙「こういう酒にハマると、ほかの酒は飲めないだろうな」
 店主「けっこう飲みやすい。酸がいい感じで出てくるから、燗酒の方がいい。味わいは、純米吟醸というより純米って感じだな」
 酒蛙「同感」
 店主「じっくり飲める」
 酒蛙「飲み飽きしない酒だ」

 清水屋が運営する神亀酒造専門オンラインショップ「神亀の館」は、この酒を以下のように紹介している。

「上質で滑らかな舌触りを硬質な渋みが縁取ります。微かなミネラル感も。麦とろは常温で、お燗ならミルクやチーズを使ったポテトグラタンやクリームコロッケ。牛脂を使った野菜炒めなどでお試しください。鶏の唐揚げネギポン酢ソース、鰹のタタキの大葉巻きなどポン酢を使った料理も面白い取り合わせです。フランスの代表的なチーズ『コンテ』と常温の『凡愚』はまさか?!の相性!!」

「凡愚」のラベルの表示は「酒造好適米100%使用、精米歩合55%」にとどまり、使用米の品種名は非開示にしている。

 それにしても、「神亀」と「ひこ孫」はどのようにつくり分けているのだろう。神亀酒造はサイトを持っていないので、「酒屋源八」(山形県西村山郡河北町)サイトを見てみた。そこには以下のように書かれていた。

「神亀とひこ孫の違いは、米違いとその米が違うことによる熟成年数の違いと言うことで した。神亀は美山錦、ひこ孫は阿波山田錦を使用し、熟成には阿波山田錦がより時間がかかるということで3年以上タンクで貯蔵されてからの出荷なのだそうです」。瓶のラベルでコメの品種名を非開示にしたのは、「ひこ孫」は「阿波山田錦」に決まっているでしょう、ということで書かなかったのか。でも、飲み手の中でそれを知っている人はごく少ないだろうから、やっぱりラベルで開示してほしかった。

 それにしても「凡愚」という酒名。辞書で引いてみると「平凡で愚かなこと、人」。う~む、俺のことじゃないか。なぜ、このようなネーミングにしたんだろう???



埼玉 | 2017/05/13 | 11:50 | コメント (2) | コメントを書くコメント一覧 |


地方新聞社元記者。唎酒師。本籍・住所・年齢不詳。性別は男。飲んだことのない酒を飲むことと、ぬる燗が趣味。燗つけ器を、なじみの居酒屋に置いて、燗酒を楽しんでいる。酒席での「とりあえずビール」は、ビールにも酒にも失礼だ、といきなり酒を飲み始める。酸味のある濃い酒を好む。毎年、500種類以上の酒を飲んでいる。

ご無沙汰です。
神亀酒造を全量純米醸造へと舵を切った杜氏・小川原良征さんが先月逝去されたそうです。
数年前に見学させていただいた時に、「ひこ孫」と搾りたての酒粕という最高のお土産までいただきました。あの酒粕の旨さは忘れられません。
小川原杜氏の意志を継がれた後進の方々の活躍を期待しています。

投稿者 信濃の左党 : 2017年05月13日 12:55


■信濃の左党さん、

お久しぶりです。
亡くなられたのは存じ上げていました。
ご冥福をお祈りいたします。

投稿者 酒蛙 : 2017年05月14日 11:40








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