評議の様子
裁判長「だいたい△年か」 全員同意、判決文手直しも
裁判長が「これまでの議論を基に、2回目の投票をお願いします。被告にふさわしいと思う懲役年数を書いてください」と話すと、評議室は張り詰めた雰囲気になった。被害者が死亡した事件の裁判員裁判で裁判員を務めた男性はそう感じた。
1回目と同様、裁判員6人と裁判官3人が紙に意見を書き、裁判官の1人が結果をホワイトボードに書き出していく。
意見は重い方から裁判員が「懲役□年」2人。「懲役□~△年」1人、「懲役△年」1人、「懲役△~〇年」2人、裁判官は「懲役□~△年」「懲役△年」「懲役△~〇年6月」が1人ずつ。
裁判長が「量刑を決めないといけません」と言ってみんなを見渡し、ホワイトボードを眺めた。
評決で意見が分かれた場合、裁判員法は裁判官1人以上を含む過半数の意見になるまで、最も重い刑の意見の数を次に重い刑の意見の数に加えていくと定めている。
今回のケースでは、最も重い「懲役□年」の裁判員2人を次に重い「懲役□~△年」に足し、裁判員3人、裁判官1人だが、まだ過半数に届かない。この4人を3番目に重い「懲役△年」に加えると裁判員4人、裁判官2人の過半数となる。
「こうして見ると、だいたい△年あたりでしょうか」と裁判長。評決方法は詳しく説明しなかったが、全員がうなずく。「△年でいいですか」。裁判長は念を押すかのように挙手を求め、全員が手を挙げた。
「それでは、懲役△年とします。今から判決文を作成します」
男性はこうした評議の経過について「懲役何年がふさわしいかという議論は10時間、100時間やっても尽きない。1年の違いを詳しく議論しなかった。話し始めると、どつぼにはまるからだろう」とみている。
判決文は言い渡しに先立ち、裁判員と裁判官全員で読んでチェックし、難しい法律用語や言い回しなどを直した。
被告に判決を言い渡した後、男性は「善人であれ悪人であれ、人生の分岐点にたずさわった。プロじゃない自分が責任を担うことがいいことなのか」と、心にしこりを残したまま帰宅した。
(共同通信社 2010年04月02日)

