裁判員をよむ

連載企画

公判後の被告

「無期、事実上の終身刑」 初服役者には手厚く

 昨年、ある地裁の裁判員裁判で、検察側は実刑を求めたが、判決は執行猶予付きの有罪に。裁判員経験者の男性は「実刑にして刑務所へ行ったら悪い連中と付き合い、初犯の被告はきっと更生できない。それだけは駄目だと思った」と打ち明ける。ただ、それは感覚的な判断で、裁判員を務めた人の中に、刑務所の実情をよく知っている人はいなかったという。

講義を受ける受刑者

播磨社会復帰促進センターで、パソコンを使い簿記の講義を受ける受刑者=09年7月、兵庫県加古川市

 昨年夏、刑務官や警備員が見守る中、黄緑色のシャツを着た男性約50人がパソコンに向かっていた。民間企業が運営に参加するPFI刑務所の播磨社会復帰促進センター(兵庫県加古川市)。ここにいるのは初めて服役した受刑者ばかりだ。

 「カタカタカタ…」。話し声はなく、キーをたたく音が響く。受刑者対象の簿記講座。検定試験も所内で実施され、昨年3月は受験者54人中42人が2、3級に合格した。ほかにもホームヘルパーやフォークリフト運転、革工芸、クリーニングなど、民間のノウハウを活用した多彩な職業訓練のメニューがある。

 また犯罪の種類などに応じてグループミーティングを週4回実施。犯罪被害者の遺族も定期的に招かれる。

 同センターによると、別の刑務所から移った受刑者は「犯罪について毎日考え、ミーティングで意見を言わなければならず、つらい。ロボットのように刑務作業をしていた以前の方が楽」とこぼしたという。神尾光一(かみお・こういち)更生支援企画官は「2007年の開庁から間がなく評価は難しいが、再犯率は10%未満で少ないという実感はある」と話す。

 一方、最も服役が長い無期懲役受刑者。「無期懲役囚が10年で仮釈放されるというのは誤った認識です。半分以上は刑務所内で死亡します」。最高裁は裁判員から評議で質問される場合に備え、こうした“想定回答”を作り、各地裁に配った。

 無期懲役受刑者は08年末現在約1700人で、同年に仮釈放されたのは4人(法務省の統計による)。NPO法人の監獄人権センター(東京)には、長期間服役している受刑者から絶望を訴える手紙が届く。

 「30年服役しても仮釈放されず、事実上の終身刑となっている。被害感情重視に加え、受刑者に帰る場所がないことも背景だが、精神が壊れかかっている人も多い」と事務局長の田鎖麻衣子(たぐさり・まいこ)弁護士は懸念している。


(共同通信社 2010年01月23日)


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裁判員制度とは

 有権者から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が原則審理し、殺人など重大事件の被告が有罪かどうかを判断した上、有罪の場合は刑も決める。