公判後の被告
「支えあれば立ち直る」 保護観察、現場に緊張感
放火事件を審理した裁判員裁判の判決で、横浜地裁は昨年10月、男性被告(21)に保護観察付きの執行猶予の判決を言い渡した。「被告を信じて決断した」(裁判員経験者)が、男性は判決直後から所在不明となり、2カ月後、窃盗の疑いで逮捕された。裁判員が保護観察に託した更生への期待は裏切られたようだ。

男性被告に保護観察付きの執行猶予判決を言い渡した横浜地裁の法廷。判決後、被告は行方不明になった=09年10月8日(代表撮影)
昨年暮れ、茨城県内の道をジョギングする60代と40代の男性2人。60代の方が「仕事は見つかったかい」と尋ねると、もう一人は「この不景気でないです」と答えた。
60代の男性は中学校の教師を退職後、保護司を引き受け、保護観察付き執行猶予の判決を受けた人や少年院を仮退院した人など約10人を担当してきた。
この保護司は月2度、自宅に呼んで面接するが、話ができない少年やどこまで本当のことを話しているのか分からない元被告もいる。「相づちを打ち、できるだけ話を聞く。見守って支えになる誰かがいた方が立ち直れる」
交通事故で保護観察となり、半年間面接した女性から結婚と妊娠を報告されたこともある。「そのまま更生してくれるのが一番」。今のところ、担当した人の再犯は聞いたことがないという。
「保護司も保護観察官も忙しくて大変。人を増やしてほしい」と大津保護観察所統括保護観察官の三浦恵子(みうら・けいこ)さん。昨年末現在、滋賀県で保護観察の対象は531件だが、480人の保護司とともに担当する現場の保護観察官は6人しかいない。
性犯罪や暴力など特定の犯罪傾向がある人に対する「認知行動療法」は1回90分で、ワンクール3カ月かかる。グループ対応の地域もあるが、滋賀では1人ずつだ。
「保護観察の対象者が姿をくらまし、日曜日にみんなで捜したこともある。1人でも失敗すると『しっかりやってない』と言われてしまう」と緊張感を伴う日々を明かす。
18日までに終わった裁判員裁判149件中、執行猶予判決は34件で、うち21件に保護観察が付いた。裁判官だけの裁判より多く、三浦さんは次のように要望する。
「対象者は生活基盤のある人から帰る場所がない人までバラエティーに富む。イメージや罪名だけで判断せず、何があれば社会復帰できるのか。背景を見極めてほしい」
(共同通信社 2010年01月23日)

