裁判員をよむ

連載企画

候補者の見方

被害者数ではない 「死刑」自首評価異なる

 2年前の夏、名古屋市の路上で女性が車に拉致され、殺害された上、現金などを奪われた。起訴されたのはインターネットの“闇サイト”で知り合った男3人。いずれも起訴内容を認め、裁判の争点は求刑通り死刑とするか否かに絞られた。

 殺害被害者1人のケースは、連続4人射殺事件の永山則夫(ながやま・のりお)元死刑囚(1997年刑執行)に対する83年の最高裁判決で死刑適用基準(永山基準)の一つとして「被害者の数」が示された後、死刑を回避する判決が多い。

闇サイト殺人事件の判決公判が開かれた名古屋地裁の法廷=3月

 ▽再犯可能性で判断

 「どんな悪人でも死刑にするのは気がとがめるが、人の命の重さは量れない。被害者が1人でも死刑を選択したい」

 さいたま地裁の裁判員候補者名簿に載った60代のCさん(女性)はこう考える。評議で裁判長が永山基準を持ち出し、死刑を回避しようとしたら「数や前例ではない。再考を求める」。

 Cさんには被害者と同じ30代の娘がいる。「自分の子が同じ目に遭ったら許せない。遺族は『復讐(ふくしゅう)したい』というのが本音だろう」。遺族感情を尊重するという。

 一方、横浜地裁の候補者名簿に記載されている50代のDさん(男性)は「再犯の可能性」を重要視する。

 「金は仕事への対価として稼ぐものだ。金がほしくて人を殺すような人間は出所しても仕事がなく、また事件を起こす」とみる。無期懲役では、将来仮釈放もあり「新たな犠牲者が生まれるよりも、彼らに犠牲になってほしい。守るべきは被告ではない」と話す。

 ▽遺族に引きずられず

 ただ、遺族感情については「殺された被害者の悔しさやつらさは、本人しか証明できない。家族の事情は人それぞれで、遺族の声に引きずられて量刑が変わるのはおかしい」。女性とは見解が大きく異なった。

 3人の被告のうち1人は警察に事件を通報し、自首した。これをどう評価するか。Cさんは「たまたま運転手役だっただけで、事件を起こしたのは一緒。自首がなくても発覚したはず」として3人の刑に差をつけない。

 「本当に反省しているのなら、自首を考慮し、1人は無期懲役」とDさん。IT企業を経営していることもあり「闇サイト運営者は会議室で会話を聞いているのと同じ。事件が起きたのだから処罰すべきだ。日本はIT音痴。社会が変化しているのに法律が追いついていない」と付け加えた。


(共同通信社 2009年11月04日)


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裁判員制度とは

 有権者から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が原則審理し、殺人など重大事件の被告が有罪かどうかを判断した上、有罪の場合は刑も決める。