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<16> クルマの神が

【2日目・ミズーリ州パリススプリングス~カーセイジ】

 薄明かりの中、車は行く。
 人家のない、森を走る。
 聞こえてくるのはエンジンと風の音。星が降ってくるように、一面に輝く。
 ここはパリススプリングス

 先の方に、ほのかな白い光が見えた。明かりは次第に大きくなっていって、淡い赤や緑に変わる。
 電飾が施されたガソリンスタンドの跡だった。
 静寂の中、光るネオン。その清らかな孤高の輝きにのまれそうになる。
 クルマの神様というのがいるなら、今ここで僕らに寄り添っている、と思った。

 写真を撮っていると「デビルズ・エルボーにいたよね」と若い男女に声を掛けられた。
 2人ともイタリアのシチリア島に住んでいて、新婚旅行でルート66を回っているという。
 「運転疲れた?」と聞くと「全然。アメリカはイタリアと違って、何もかもスケールが大きくて、おもしろいわ」と新婦。途中、ラスベガスに寄って、ロサンゼルスまで行くという。
 「お互いに、事故を起こさないようにがんばろう」とエールを交わして別れた。

 パリススプリングスからは、ひたすら平たんで真っすぐな道。街灯がなく、民家も少なく、対向車もない。進んでも進んでも闇がぴったりと追いかけてくる。
 さすがに寂しくなってきた。
 最初に着いた街、カーセイジでモーテルを探し、床についた。
 ミズーリ州をほぼ走りきったのだから、まあ順調な1日だったと言えるだろう。

ミズーリ州の豆知識一覧
ミズーリ州の豆知識一覧

写真ロゴ
Photo

左矢印 右矢印
セントルイス メラメック レバノン スプリングフィールド
パリススプリングス シアター スタンド

旅行記
旅行記

プロローグ

はじめに

イリノイ州

<1> 出だしから迷子
<2> 小さいのが、いいです
<3> 名物食堂
<4> 縦列駐車マイスター
<5> 序盤は飛ばす(ここから1日目)
<6> ナビが働かない
<7> 高速のわな
<8> ゲストブックの熱い言葉
<9> 合衆国のヒーロー
<10> 生きる理由
<11> 犬の歓迎

ミズーリ州

<12> トムとハックの川(ここから2日目)
<13> カメラを池に
<14> トラック野郎の味
<15> ドライブマナー
<16> クルマの神が
<17> 管制官ユキ(ここから3日目)
<18> 朝焼け浴びる大画面

カンザス州

<19> わずか21キロ
<20> 愛すべきキャラ

オクラホマ州

<21> 伝説のスター
<22> 巨大トーテムポール
<23> うれしい言葉
<24> 太陽が落ちてくる
<25> 孤独と自由(ここから4日目)
<26> マザーロード
<27> 綿畑と通行止め

テキサス州

<28> 58人の村
<29> 突き刺さる車
<30> ちょうど半分(ここから5日目)
<31> 元気の数値

ニューメキシコ州

<32> 車で歩く
<33> 青の泉
<34> 永ちゃんとアメリカ
<35> 親子の像
<36> ぶつけられた!(ここから6日目)
<37> 不吉な電子音
<38> 「通報されたいか」
<39> デッドエンド

アリゾナ州

<40> しつこい泥土
<41> 取り囲まれる
<42> おせっかい(ここから7日目)
<43> いいことが起きそう
<44> 隕石の跡
<45> 岩との会話
<46> シュウちゃんのこと
<47> 絶交と別れ
<48> 嵐の結婚式(ここから8日目)
<49> 飽きない夢
<50> 「カーズ」の町
<51> 陽気男
<52> 心のタイムスリップ
<53> 残る不安
<54> 手のひらに汗(ここから9日目)
<55> ガンマン登場

カリフォルニア州

<56> 白い恐怖
<57> 赤の鮮烈
<58> 映画の舞台
<59> 木賃宿
<60> ビリー・ザ・キッドの携帯電話(ここから10日目)
<61> 1号店
<62> ゴールの手前(ここから11日目)
<63> 東洋人の町
<64> 完走の意味
<65> 大平洋は青かった
<66> 幸せな光景

エピローグ

おわりに