47NEWS >  ニュース >  動画ニュース >  Route 66 >  カリフォルニア州 >  <65> 大平洋は青かった

<65> 大平洋は青かった

【11日目・カリフォルニア州ゲッティセンター】

 サンタモニカの手前で、ルート66を右折。
 しばらく寄り道することにした。

 小高い山の上にある美術館、ゲッティセンターに向かう。
 ここから見るLAの風景が美しいと聞いていたからだ。
 ルート66の旅を終えてしまう前に、最後に自分が到達する場所を俯瞰して見ておけば、何かが心の中で変わるのかもしれない。

 駐車場に車を止めると、トラムに乗って、坂を上がる。
 大富豪だったJ・ポール・ゲッティの邸宅跡に建てられた、この美術館は無料。白を基調にし、自然光をうまく取りれた独創的な建築、広大な庭園。アートを眺めなくても、ただ散歩するだけで、十分楽しい。

 涼しい風に当たりながら、この2週間見続けたのは、何だったろう、と考えた。

 小説や映画にあるような、劇的なことの連続ではなかったかもしれない。
 それでも、十分に、つらく厳しく、楽しい日々だった。

 車中やモーテルでは、相棒のナカジマさんと、多くの話をした。
 食べ物や音楽、ファッション、震災後の日本人、アメリカ人のマナー…。
 旅も中盤になると、さすがに話すネタがなくなって会話は減ったが、気が詰まる感じはなかった。
 ひたすら運転し、休み、さらに行く。
 どんどんシンプルになっていく時間は、むしろ心地よかった。

 記憶に残るのは、沿線の風景よりも路面だ。
 割れたアスファルト、赤い土、ぬれた泥、敷き詰められたレンガ。道はさまざまな表情で、運転中やナビをする僕に語りかけてくれた。
 道と向き合い、道と会話した。道が友だちだった。

 さて、LAの眺めはどうだ
 水色の空、白い雲の先、車や工場が上げる煙の灰色、人がうごめく街々に走る無数の道。
 その先にあった。
 太平洋だ。

 トッドとバス、ついにここまで来たぞ!
 バンディットとスノーマン、聞いてるか。僕らはやったぞ、11日間で。

 海は青かった。黒かった。
 もちろん、海に道路はなかった。

 さあ、そろそろこの旅も終わりにしようか。
 日本に帰ろう。

 独り言を聞く、もう1人の自分に話していた。

カリフォルニア州の豆知識一覧
カリフォルニア州の豆知識一覧

写真ロゴ
Photo

左矢印 右矢印
砂漠 太陽 アンボイ バグダット
キャリコ マクドナルド ランチョ バサデナ
チャイナ ハリウッド ゲッティ サンタ
エンド

旅行記
旅行記

プロローグ

はじめに

イリノイ州

<1> 出だしから迷子
<2> 小さいのが、いいです
<3> 名物食堂
<4> 縦列駐車マイスター
<5> 序盤は飛ばす(ここから1日目)
<6> ナビが働かない
<7> 高速のわな
<8> ゲストブックの熱い言葉
<9> 合衆国のヒーロー
<10> 生きる理由
<11> 犬の歓迎

ミズーリ州

<12> トムとハックの川(ここから2日目)
<13> カメラを池に
<14> トラック野郎の味
<15> ドライブマナー
<16> クルマの神が
<17> 管制官ユキ(ここから3日目)
<18> 朝焼け浴びる大画面

カンザス州

<19> わずか21キロ
<20> 愛すべきキャラ

オクラホマ州

<21> 伝説のスター
<22> 巨大トーテムポール
<23> うれしい言葉
<24> 太陽が落ちてくる
<25> 孤独と自由(ここから4日目)
<26> マザーロード
<27> 綿畑と通行止め

テキサス州

<28> 58人の村
<29> 突き刺さる車
<30> ちょうど半分(ここから5日目)
<31> 元気の数値

ニューメキシコ州

<32> 車で歩く
<33> 青の泉
<34> 永ちゃんとアメリカ
<35> 親子の像
<36> ぶつけられた!(ここから6日目)
<37> 不吉な電子音
<38> 「通報されたいか」
<39> デッドエンド

アリゾナ州

<40> しつこい泥土
<41> 取り囲まれる
<42> おせっかい(ここから7日目)
<43> いいことが起きそう
<44> 隕石の跡
<45> 岩との会話
<46> シュウちゃんのこと
<47> 絶交と別れ
<48> 嵐の結婚式(ここから8日目)
<49> 飽きない夢
<50> 「カーズ」の町
<51> 陽気男
<52> 心のタイムスリップ
<53> 残る不安
<54> 手のひらに汗(ここから9日目)
<55> ガンマン登場

カリフォルニア州

<56> 白い恐怖
<57> 赤の鮮烈
<58> 映画の舞台
<59> 木賃宿
<60> ビリー・ザ・キッドの携帯電話(ここから10日目)
<61> 1号店
<62> ゴールの手前(ここから11日目)
<63> 東洋人の町
<64> 完走の意味
<65> 大平洋は青かった
<66> 幸せな光景

エピローグ

おわりに