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<40> しつこい泥土

【6日目・アリゾナ州ホルブルック】

 やっとの思いで到達したアリゾナ州は、未舗装の悪路で迎えてくれた。

 赤い泥土がタイヤにまとわりつく。
 雲が黒くなってくる。看板には「雨が降ったら、自分のリスクで走りなさい」。
 これは「脅し」ではなく、「現実」なのだろう。
 周囲に僕らを助けてくれる、おめでたい車なんてないんだから。

 行くか。
 やるっきゃない。
 さながら、ジョン・ウェインの映画「駅馬車」の乗客気分。「行く」以外に、僕らに選択肢はないのだ。

 「ここで一発、雨が降れば、終わりだな」と苦笑いしながら、ハンドルを握るナカジマさん。空がさらに暗くなってきた。
 深いわだちにタイヤがはまらないように、注意深く運転を続ける。
 15分ほど悪戦苦闘すると(この15分は本当に長く感じられた)、道は一軒家の庭につながり、行き止まりとなった。

 家に人けはない。地図上では道は続いているのだが、またも現実は厳しかった。
 「仕方ない。戻って、西に出られる別の道を探すっきゃない」
 ナカジマさんは、切り替えが早い。この旅は、いい相棒に恵まれた。

 原野の先の地平線から建物らしい影が。ホルブルックという街だ。
 街の中心にある公園に車を止め、町並みを撮影していると、「チーズ!」と大きな声が。
 中年の男女が、ピエロのような、おどけたポーズを取りながら、近づいてくる。久しぶりの人間らしい風景に、こっちの心が和む。

 そうか、日本から来たのか、こんな田舎町に…などと感心され、何度も一緒に記念撮影しているうちに、雲行きが怪しくなった。

アリゾナ州の豆知識一覧
アリゾナ州の豆知識一覧

写真ロゴ
Photo

左矢印 右矢印
泥 ホルブルック スタンディン メテオ
ガンズ アローズ カレー セドナ
雨 ベルモント クルーザー セリグマン
ハックベリー 博物館 山 ロバ
ガンマン

旅行記
旅行記

プロローグ

はじめに

イリノイ州

<1> 出だしから迷子
<2> 小さいのが、いいです
<3> 名物食堂
<4> 縦列駐車マイスター
<5> 序盤は飛ばす(ここから1日目)
<6> ナビが働かない
<7> 高速のわな
<8> ゲストブックの熱い言葉
<9> 合衆国のヒーロー
<10> 生きる理由
<11> 犬の歓迎

ミズーリ州

<12> トムとハックの川(ここから2日目)
<13> カメラを池に
<14> トラック野郎の味
<15> ドライブマナー
<16> クルマの神が
<17> 管制官ユキ(ここから3日目)
<18> 朝焼け浴びる大画面

カンザス州

<19> わずか21キロ
<20> 愛すべきキャラ

オクラホマ州

<21> 伝説のスター
<22> 巨大トーテムポール
<23> うれしい言葉
<24> 太陽が落ちてくる
<25> 孤独と自由(ここから4日目)
<26> マザーロード
<27> 綿畑と通行止め

テキサス州

<28> 58人の村
<29> 突き刺さる車
<30> ちょうど半分(ここから5日目)
<31> 元気の数値

ニューメキシコ州

<32> 車で歩く
<33> 青の泉
<34> 永ちゃんとアメリカ
<35> 親子の像
<36> ぶつけられた!(ここから6日目)
<37> 不吉な電子音
<38> 「通報されたいか」
<39> デッドエンド

アリゾナ州

<40> しつこい泥土
<41> 取り囲まれる
<42> おせっかい(ここから7日目)
<43> いいことが起きそう
<44> 隕石の跡
<45> 岩との会話
<46> シュウちゃんのこと
<47> 絶交と別れ
<48> 嵐の結婚式(ここから8日目)
<49> 飽きない夢
<50> 「カーズ」の町
<51> 陽気男
<52> 心のタイムスリップ
<53> 残る不安
<54> 手のひらに汗(ここから9日目)
<55> ガンマン登場

カリフォルニア州

<56> 白い恐怖
<57> 赤の鮮烈
<58> 映画の舞台
<59> 木賃宿
<60> ビリー・ザ・キッドの携帯電話(ここから10日目)
<61> 1号店
<62> ゴールの手前(ここから11日目)
<63> 東洋人の町
<64> 完走の意味
<65> 大平洋は青かった
<66> 幸せな光景

エピローグ

おわりに