末しょう血もバンク化検討
提供者の安全確保に課題
 善意の市民から提供を受けた骨髄液を、適合する白血病患者らにあっせんする日本骨髄バンクの運営主体、骨髄移植推進財団(理事 長、高久史麿・自治医大学長)が、非血縁者間の「末しょう血幹細胞移植」という別の移植についても、バンクで仲介すべきかの検討を 進めている。

末しょう血幹細胞移植は現在、血縁者間を中心に行われているが、第三者からの移植がバンクを通じて行われるようになれば、骨髄提 供者の不足に悩む患者にとってのメリットは大きい。健康な提供者の安全性をめぐって評価が確立されたとはいえないなど、課題もある。
▽専門の小委員会を設置
 末しょう血幹細胞移植は、提供者の骨髄から末しょう血中にわずかに出てくる造血幹細胞を、白血球を増やすG―CSFという薬を投 与して増やす。その後、人工透析に似た手法で造血幹細胞だけを取り出し、注射で患者に移植する。
 血縁者間での実施は2000年以降、既に1600件を超え、バンクが仲介した骨髄移植のペースを上回る。こうした実態を受けて日本 造血細胞移植学会は今年6月、非血縁者間移植の仲介を同財団が早急に開始するよう求める要望書を出した。財団は、専門の小委員会を 設置して議論を進めている。
▽提供者の安全性の問題
 学会関係者らによると、末しょう血の場合の最大の利点は、骨髄移植と異なり提供者に全身麻酔が不要なこと。移植が成功した場合の 造血機能の回復も、骨髄移植より早いとされる。一方、移植した細胞が患者を異物とみなして攻撃することで起きる移植片対宿主病(G VHD)という副作用は、骨髄移植より重症化する傾向がある。  検討上の最大の焦点は、G―CSFの投与などに伴う提供者の安全性の問題だ。投与後は骨の痛みや、血液が固まりやすい状態になる などの悪影響が出やすく、財団によると、海外では8人の死亡例の報告があるという。
  このうち6人は、もともと提供者が健康状態にあったとはいえないというが、検討小委員会の三田村真・委員長は「提供者の安全性 は、最優先の課題。骨髄移植との治療成績の比較なども現段階では不十分で、学会などとも協力しながら、財団の仲介事業の対象になり 得るかの議論を続けたい」と話す。  末しょう血幹細胞移植のバンク化は、造血幹細胞移植に関するさまざまな課題を検討している厚生労働省の委員会でも、主要テーマの 一つになっている。   

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