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糖尿病の合併症である網膜症と腎症の予後を予測できるシミュレーションソフトを、
池田俊也・慶応大医学部講師らと武田薬品工業(東京)が開発した。患者の年齢や検査値を入力すれば、
30年後までの発症の確率をグラフで表示。診療支援や患者教育を目的としている。
▽多い評価の声 5月の日本糖尿病学会では、ソフトの予測と実際のデータがよく一致していると評価する声が多かった。 入力する項目は、年齢、性別のほか、血糖管理の指標である ヘモグロビンA1c(HbA1c)、収縮期血圧、 総コレステロール、善玉コレステロールのそれぞれの数値と、喫煙習慣と左室肥大の有無。 現在の数値と治療後の仮想の数値を入れると、それぞれのデータを基にしたグラフが表示され、 網膜症と腎症について、将来の危険と治療した場合の効果が一目で分かる。 同社は2年前、生活習慣病に関するリスク予測ソフトを作ったが、海外の疫学データを基にしていた。 今回は、米国の大規模な疫学調査にハワイの日系人の調査結果を加味して、狭心症など大血管障害の危険を予測。 網膜症と腎症は、厳格な血糖管理をすると合併症が抑えられることを立証した 「熊本スタディー」を手掛かりに、数式モデルを作った。 ▽日本独自の最善のデータ 池田講師は「現在入手できる日本独自の最善のデータを使ったのがよかった」と言う。 糖尿病の予測ソフトは欧米でいくつか開発されているが、合併症や死亡の確率を図で示したのは初めてという。 また、「合併症予防による長期的な医療費削減効果も予測できるので、医療政策の立案にも活用できる」 (池田講師)のも特長だ。 ただ、日本人に多い脳卒中と、糖尿病の三大合併症で最も多い 神経障害の疫学データがなく、まだ組み入れられていない。 これらの課題も考慮しつつ、もう少し精度を上げて妥当性や信ぴょう性を高め、年内にも最終版を作りたいとしている。 ソフトは医師、研究者向けで、一般への配布、販売は予定していない。 |