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患者130人に実施し効果 肝臓への応用始まる |
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腎臓にブドウの房のような袋状の嚢胞(のうほう)が無数にできて肥大する先天性 の病気「多発性嚢胞腎」。治療法が少なく、全身状態の悪化で死亡する人も少なくな いこの病気を、腎動脈の血流を遮断して「兵糧(ひょうろう)」攻めにして治療する 新しい方法が効果を上げている。
▽根治難しい病気 嚢胞腎は若いころから少しずつ進行し、嚢胞が腎臓の細胞を壊して腎機能が低下、 五十代以降で人工透析が必要になる人が多い。日本では透析患者約20万人の約3% がこの病気で、透析原因の四番目だ。 腎臓はふつう、透析で小さくなるが、嚢胞腎では肥大し続ける。患者の腹部は膨ら み、歩行や服装など生活面での支障のほか、胃や腸が圧迫されて起きる便秘や食欲不 振、さらに腸閉塞(へいそく)や腸管破裂といった深刻な事態も少なくない。 新しい治療に取り組むのは、 虎の門病院分院 (川崎市高津区)腎センター内科の乳原善文医長、田上哲夫医師ら。 ▽きっかけは緊急手術 肝臓がんの治療などに使われる「経皮的動脈塞栓(そくせん)術」を応用した方法 で、太ももの動脈から挿入した細い管(カテーテル)を通して、渦巻き状の小さな金 属片(コイル)を腎臓まで持っていく。そして、嚢胞の間を縫うように枝分かれした 腎動脈に詰めると、嚢胞は壊死(えし)して縮小する。 腹部打撲で嚢胞から出血した患者に、この方法で緊急の止血をしたところ、嚢胞そ のものも小さくなったのがヒントになった。 治療は1996年以来、約130人に実施。1度に20~30個のコイルを詰める が、進行した患者では半年後に2度目の治療を行うこともある。1年が経過した61 人の腎臓の平均縮小率は46%。腹囲も平均12センチ小さくなった。 ▽肝臓にも応用
「病院以外は外出する気にもならなかったのに、今は旅行にも行ける。食欲も出
て、生活ががらりと変わった」と話すのは、97年に治療を受けた川崎市の男性。当
時は衰弱がひどく、肥大の進行で外科手術は無理と判断されていた。
治療後、背中の痛みや発熱が数日から2週間続く以外、治療での合併症はない。た
だ、尿量が減るため適応は人工透析中の患者に限られる。血管が蛇行するなど、カ
テーテル挿入が難しい患者にも適応はない。
昨年からは放射線科と共同で、院内の倫理委員会の承認を得て、肝臓が同じような
状態になる「多発性嚢胞肝」の患者にも、この方法による治療が始まった。これまで
に9人に実施し、経過は良好だという。
乳原医長は「嚢胞腎の患者は、もともと脳出血などを起こしやすいため、治療や術
後管理には細心の注意が必要だが、今後も技法を改善しながら進めていきたい」と話
している。
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