ピロリ除菌で胃がん予防
九州30病院で実証試験
日本消化器病学会
  
     胃の中にすみ、胃炎や胃がんを起こすヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することで胃がんを予防する試験を、九州7県の約30病院が共同で進めている。  日本消化器病学会九州地方会の「九州プロジェクト」で、約500人を対象に5年間、追跡調査する。日本人の成人のピロリ菌感染率は50%以上とされており、死因の上位を占める胃がんが除菌で減らせることを実証しようという狙いだ。  
                       ▽1年ごとに生検などを実施
    プロジェクトの責任者である大分医大病院総合診療部の藤岡利生教授によると、除菌した患者の同意を得て、1年ごとに胃の組織を採取する生検などを実 施。胃炎で委縮していた部位の経過を観察するとともに、潰瘍(かいよう)やがんの発生の有無、がん抑制遺伝子の変異などを調べる。  九州7県で昨年12月から今年5月までに患者約250人を登録しており、登録者は「今年末までに計500人にしたい」(藤岡教授)という。  
 ▽研究成果は米医学誌に
    プロジェクトのもう一つの狙いは、何歳で除菌すればいいのかのデータを得ることだ。藤岡教授は「ピロリ菌で起きた胃粘膜の変化が元に戻る限界を突き止められ れば、効果的な除菌が可能になる」と期待する。  ピロリ菌が胃がんの原因になるとする研究成果は、呉共済病院の上村直実医長(現・国立国際医療センター第一消化器科医長)らが昨年9月、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
 ▽感染者の2・9%から胃がん
  上村医長らは1990年から93年まで、ピロリ菌に感染していなかった280人と、感染していた1246人について、平均7・8年、1-3年ごとに内視鏡で胃を観察。  感染していなかった人では胃がんは発生しなかったのに対し、感染していた人では、2・9%に当たる36人で胃がんが見つかった。感染者で慢性活動性胃炎の人は4・7%、胃かいようの患者は3・4%と、高率で胃がんになっていた。 

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