新生児の聴覚検査進む
岡山県は75%カバー
6カ月以内に療育開始
  
  小児の難聴は気付くのが遅れると言語の発達に大きく影響する。現在は生後すぐ、赤ちゃんが寝ている間に、聴性脳幹反応(ABR)を自動的に調べる装置により、数分で難聴の有無が分かるようになった。岡山県では新生児の約75%が検査を受けられる体制を確立。他の自治体も検査実施へ動きつつある。  
                       ▽難聴児の支援体制が問題
  これまでの調査では、軽度を含め1000人で1-2人の難聴が見つかる。問題は難聴児を支援していく体制をどう作るかだ。  子供の聴覚障害に直面し、混乱する親に正確な情報を与えるとともに、子供への補聴器の装着や言語発達の支援を行う「療育」を直ちに始められるシステムが求められている。  というのは、言語の発達には「最適期」があり、音声情報を与える時期は早ければ早いほどよいとされているからだ。  全国に先駆けて昨年7月に、新生児の聴覚検査を公費負担でスタートさせた岡山県では、産科を持つ37施設が参加し、誕生した全新生児に自動ABR検査を実施。年間約1万9千人生まれる新生児のうち約1万4千人をカバーできる体制だ。  精密検査を経て難聴と判定されると、難聴幼児通園施設「岡山かなりや学園」(岡山市)に紹介され、詳しい聴覚の評価を受けた上、言語聴覚士らの専門家による療育を受けられるシステムになっている。    
 ▽小児科や教育機関などの連携が大事
  岡山大医学部耳鼻咽喉科の福島邦博医師は「聴覚障害は、音が聞こえないだけでなく、言葉を覚えることやさまざまな社会参加をすることへの障害になりうる。難聴の発見は、早いほど、その後の教育やコミニュケーション方法の選択肢が広がることになる」と話す。   同県では、岡山大医学部と同学園のネットワークなどが以前からできていたために、今回の新生児検査に向けた産科、小児科、耳鼻科、教育、行政の連携がスムーズに進んだようだ。  現在、生後3カ月以内に精密検査が終わり、同6カ月以内には難聴児への療育が始まっているという。  かなりや学園は、耳鼻科の診察や補聴器の適合なども行っている。通っている難聴児は補聴器を利用している子が多いが、人工内耳を装着している子もいる。   
 ▽それぞれの地域でできる範囲で
  同園の言語聴覚士、福田章一郎さんは「まだ始まったばかりだが、1歳ぐらいで言葉が出てくるケースもある。早期発見のメリットは生かされていると思う」と話す。ただ、このような難聴幼児通園施設は、まだ全国に27しかない。  現在、ほかでは秋田、栃木、埼玉、神奈川、長野、東京などで自動ABR検査を導入する動きがあるが、医療機関が主導している所や、検査機器の購入に補助を出すケースなど、やり方はさまざまなようだ。  福田さんは「それぞれの地域で、できる範囲で進めていけばいいのではないか」と話している。

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