ガムでだめなら専門医に 受診者減る禁煙外来
  
 「禁煙してても、吸いたいよー」。最近、ニコチンガムのテレビコマーシャルが盛んに流れている。 処方せんが必要な薬から薬局で買える市販薬に切り替わり、大々的なPRが可能になったためだ。手軽さが受け、 禁煙に挑戦する人は確実に増えているが、一方で、医療機関の「禁煙外来」で受診者が減るという皮肉な現象が起きている。
▽80%が成功
 禁煙外来は1994年、喫煙以外の方法でニコチンを取り込み、禁煙の苦しさを緩和する 禁煙補助剤として、ニコチンガムが登場したのを機に広がった。その後、張り薬のニコチンパッチも登場した。 これまで約1500人を治療したJR東京総合病院内分泌内科の石井周一部長は、禁煙外来を受診した男性65人、女性34人の長期成績を調べた。 約1時間のグループカウンセリングの後、補助薬を処方。約2カ月の治療期間中、1本も吸わない完全禁煙だった人は63人。 最後は禁煙できた20人と合わせ、禁煙導入率は83%だった。治療開始半年後も禁煙していた人は65人。1年後の禁煙維持率も40%程度に達する見込み。 ニコチン依存度が高いほど維持率は低く、男性で高齢ほど成功率が高く、女性は総じて男性より10?ほど成績が悪かった。
▽ヘロイン並みの魔力
 ガムは昨年9月、店頭での服薬指導などを条件に市販薬になり、年内の売上高は40億円を突破した。しかし一方で、禁煙外来の受診者が減ってしまった。 石井部長の元でも、月に40人程度だった新患が現在は10人弱。大阪府立健康科学センターの中村正和健康生活推進部長も「かつては2?3カ月先まで予約でいっぱいだったが、 今では当日でも受付可能な状態」。ニコチン依存症はアルコール依存より強く、ヘロイン並みとの研究結果もある。市販薬化の際の臨床試験では、 ガム使用開始三カ月後の禁煙率は46%。逆に言うと、半分以上は失敗する計算だ。
▽30分で成功率3倍
 「失敗した人をどうフォローするかが問題だ」。ニコチンガムが禁煙を身近にした功績を認めながらも、専門医は口をそろえる。さらに、 少しかんでは頬と歯の間に置くことを繰り返す特殊なかみ方が必要で、使い方が難しい。「薬局の指導でどこまで伝わっているか心配」との声や、 「十分な量を使っていないケースもある」との指摘もある。 禁煙指導の専門家から合計30分以上のサポートを受ければ、禁煙成功率が3倍以上になるとのデータもある。 中村部長は「ガムで失敗しても、禁煙は無理と思い込まずに、次は禁煙外来の扉をたたいてほしい」と呼び掛けている。

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