できるか腎臓病新薬 異常事態の人工透析

  
 何とか腎臓(じんぞう)病をストップできないか-。日本の人工透析患者は急増を続け、ついに20万人を超えた。 腎移植も頭打ちで、有効な治療法がないまま、ずるずると“異常な事態”へと進んでいる。 そんな中で、やっと治療薬の手掛かりが見つかり、東海大医学部のチームが開発に取り組んでいる。
 現在、人口が約2倍の米国でも透析患者は24万人。日本の患者数は異常に多い。 腎移植は米国の年間約1万7千例、日本は約700例と比較にならない。
 問題は透析の費用だ。現在、1人当たり国が年間550万円を負担しているため既に計1兆円を突破。 しかも透析患者数は毎年1万5千人ずつ増加中。透析患者の4割を占める糖尿病患者も増えるばかりだ。
 透析が必要となる腎不全まで進行させない方法はないのだろうか。東海大医学部内科の宮田敏男助教授は 「腎臓が駄目になるメカニズムがはっきり分かっていないので、 有効な 治療法はない」と話す。
 製薬会社は腎臓薬を開発する予定さえないという。最後は人工透析がある」という意識と、薬が標的にする分子が見つからないことなどが理由という。
 腎臓は、血液のろ過器官で、「糸球体」が水分と老廃物をこし取る役割をしている。その働きの中心が「メサンギウム細胞」だ。  同助教授によると、腎臓病というのは(1)メサンギウム細胞の増殖(2)この細胞間の物質(基質)の拡大(3)処理できない老廃物が沈着-の3つの場合がある。
 腎臓病は、糖尿病性腎症と慢性糸球体腎炎の2つで8割を占める。糖尿病ではメサンギウム細胞が増殖、基質もどんどん増える。この細胞に老廃物がが沈着するのが慢性糸球体腎炎だ。
 同助教授らは、人のメサンギウム細胞で発現している遺伝子を徹底的に調べ、その結果、腎臓病の手掛かりになりそうな新遺伝子「メグシン」を見つけた。  メグシンは腎臓病、特に糸球体が障害されたときに発現が上昇することが判明、この発現を抑えることで腎臓病の症状が改善できる可能性が出てきた。  宮田助教授は「何とか日本から腎臓病の薬を出したい」と話している。

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