怖い閉塞性動脈硬化症
足の痛みに注意を

 足の動脈が詰まる閉塞(へいそく)性動脈硬化症(ASO)は、動脈硬化が原因で起こる全身病と考えた方が良さそうだ。患者は心筋梗塞(こうそく)などで亡くなることも多く、専門家は「足の痛みを軽く考えてはいけない」と指摘している。
 東京医大第二外科の重松宏(しげまつ・ひろし)教授によると、足の動脈が詰まってくると、足が冷たい感じがしたり、歩いた時に足が痛くなったりする。症状が進むと安静時にも痛くなり、さらに悪化するとかいようや壊死(えし)を起こして切断しなければならないこともある。

 人口血管に置き換える

 ある80代の男性は20年ほど前に右足の後ろやふくらはぎに時々、だるいような重みや痛みを感じ始めた。10年ほど前からはゴルフでボールを打って歩き出すと右足が痛くなり、しばらくすると痛みが消える状態を繰り返すようになった。
 人間ドックでも異常は見つからず、その後の検査でも「下肢に動脈硬化あり」と指摘されただけ。約6年前にようやくASOと診断され、詰まった血管を人工血管に置き換える手術を受けた。
 ASOの主な症状は歩くと足が痛くなり休むと痛みが取れる「間欠性跛行(はこう)」。この状態は病気の進行ではⅡ度に当たり、患者の7、8割を占める。だが足が時々痛くなる程度では、患者は安易に考えがちだ。
 ASOの患者は全身の動脈硬化が進んでいるため心筋梗塞や脳梗塞を起こすことが多く、重松教授は「足の状態が悪くなるほど予後は悪化する」と指摘。Ⅱ度以上の患者の5年生存率は60―70%で「乳がんや大腸がんよりも悪い数字だ」(同教授)という。

 ▽男性に多く、高齢者ほど

 ASO患者は生活習慣病のメタボリック症候群と同様に糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの危険因子を持っていることがほとんど。男性に多く、高齢になるほど発症しやすい。
 日米欧などの関連17学会が合同で作成中の新しいガイドラインでは、運動療法や抗血小板薬による薬物療法を推奨。症状が進むと血管の内側を広げる血管内治療や人工血管などでバイパスをつくる外科的血行再建などが行われ、遺伝子治療も試みられている。
 重松教授は「足の切断という事態を招かないよう正しい診断と治療が重要。普段から足の状態に注意することで虚血性心疾患や脳卒中の予防にもつながる」としている。

 


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