最先端の脳卒中センター
手術室に血管撮影装置

 微細な血管を立体的に表示して脳などの血液の流れを調べる大掛かりな血管撮影装置は従来、手術室とは別の検査室などに置かれていたが、このほど手術室の中で血管撮影装置が使える世界初の最先端システムが 慈恵医大付属病院(東京都港区)に導入された。
 患者の状況に応じ、極細のカテーテル(管)を使った脳血管の塞栓(そくせん)術から、即座に開頭手術に切り替えられるのが特徴で、24時間態勢の脳卒中センターとして動き始めている。
▽血管内治療可能に
 同病院脳神経外科の阿部俊昭教授らが、 シーメンス旭メディテックと共同開発したのは血管撮影装置と外科手術装置が融合した「オペルーム・アンギオグラフィー」(手術室用血管撮影装置)。
 例えば、脳の動脈瘤(りゅう)が破裂して起こるくも膜下出血は、死亡率が高く、半数が死亡する。
 「脳動脈瘤が事前に見つかった場合、これまでは手術で脳血管の“こぶ”の根本をクリップで留めて破裂を防いでいた。脳外科の腕の見せ所だったが、今は1日の入院で、太ももからカテーテルを脳血管まで挿入して、こぶにコイルを詰めてふさいでしまう血管内治療(塞栓術)ができるようになった」と阿部教授。
 このときに必要なのがエックス線を使った血管撮影装置だ。こぶの位置やカテーテルの動きが画面から手に取るように分かる。
 血栓が詰まって起こる脳梗塞(こうそく)の場合には、患部に到達したカテーテルの先から血栓を溶かす薬を放出して治療することなども行われる。
▽検査と治療を一貫して
 しかし、これまでは血管撮影装置による検査や血管内治療は、手術室と別の部屋で行われるのが普通だった。
 同病院脳血管治療センターの村山雄一センター長は「くも膜下出血を起こした患者などはベッドを動かしただけでも危ない。手術室の中で検査と治療を一貫してできる装置が必要だった」と指摘する。
 村山センター長ら治療スタッフは、9年前から脳血管内治療では先を行く米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)脳卒中センターで技術を磨き、今回の最先端装置の導入に備えてきた。
 阿部教授は「脳卒中は時間が勝負。発生から3時間以内にこういう施設に収容できれば、かなり助かると思う。並行して脳卒中の治療を行う医師のトレーニングセンターとしての利用も進めていきたい」と話している。
 

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