|
ロボットで成績向上 医師に代わり精密作業 |
軟骨がすり減るなどした股(こ)関節や膝(ひざ)の関節を、人工の関節に交
換する手術が普及してきたが、医師の経験や熟練度で結果にばらつきが生じがち
だった。その現場に、手術用ロボットという“助っ人”が登場した。医師に代わ
り、コンピューター制御で骨を削るという精密な作業をこなし、治療成績は確実
に向上している。
▽意図した通りに「意図した通りの角度で人工関節が患者の大腿(たい)骨に入っていく。すごい手術だと思いました」。2000年秋、ドイツで初めてこの手術を見た時の感想を、えにわ病院(北海道恵庭市)の増田武志院長はこう話す。欧米では数1000例の実績があるというロボット手術。同病院は昨年6月に股関節の手術に導入し、これまで約70人の患者に実施した。 股関節の人工関節手術は、変形性股関節症や関節リウマチなどが主な適応で、金属やポリエチレンなどでできた製品を大腿骨、骨盤それぞれに固定する。 日本では約20年前から使われており、手術器具や手法の改良は進むものの、 最後は医師の技量頼みの面が強かったことが、支援ロボット開発の背景にある。 ▽3次元データもとに えにわ病院など国内約10カ所の病院で使われているのは、米国製の「ロボドッ ク」。人工関節を患者の大腿骨にはめ込む穴を、正確に開けるためのコンピュー ターシステムと掘削装置から成る。国内の臨床試験は終了し、厚生労働省に申請 中。現在は病院の判断で使用されている。 従来の手術は、患者の股関節部分のエックス線写真に製品の型をあてて手術に 使うものを決定。手術の際も、製品と同じ形をしたドリルや、やすりのような器 具を使い、手で削っていた。 ロボットでは、3次元のエックス線CTで把握した関節の位置や骨の太さなど の詳細なデータをシステムに入力。最も合う人工関節を選択し、骨の削る部分を 設定する。手術時にはこの情報に基づき、ロボットアームの先についた直径約1 センチの刃が、自動的に骨を削る。骨が少しでも動いたりすれば自動で停止する 安全装置も付いているという。
▽取り換えでさらに効果同病院で手術を担当する春藤基之医師によると、結果の正確さの目安となる、 大腿骨と人工関節の角度のずれは、従来の手術の平均が正面で0.71度、側面 で1.33度だったのに対し、ロボット使用の場合ではそれぞれ0.12度、 0.09度と改善した。 「角度のずれが小さく、関節と骨がすき間なしにぴったり接触するので長持ち する」と同医師。入院期間も短縮され、通常約3週間で退院可能だという。 ロボットがさらに効果を上げるのは、長年使用した人工関節が緩んで交換が必 要になった場合だ。製品と削った骨とのすき間を埋める「骨セメント」が使われ た場合、いったんきれいに削り取らなければならないが、骨の奥は直接、見えな いため、セメントが残ったり、削りすぎて骨に穴が開くこともあった。 春藤医師は「古いセメントは完全に取らないと、新たな緩みの原因にもなる が、この作業ではロボットが圧倒的に優れている。従来はかなりのリスク覚悟で 行われていた取り換え手術が、より安全に行えるようになった」と話している。 |