海外旅行に潜む感染症
飲食物や蚊、動物に注意

 フィリピンで狂犬病に感染した男性が11月に死亡するなど、海外ではさまざまな感染症にかかる危険が潜んでいる。渡航者が増える年末年始。専門家は、大きく5つの感染経路に分けて注意を呼び掛けている。
 最も目立つのは感染性腸炎。病原性大腸菌やサルモネラ菌、ノロウイルスなどが原因で、症状から旅行者下痢症とも呼ばれる。


 

▽1週間の滞在で10%弱が
 日本渡航医学会監事で労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センターの浜田篤郎所長代理は「日本人で多い1週間の滞在だと10%弱程度の割合でかかる。発展途上国はもちろん先進国でも油断はできない」と話す。
 旅行中は疲れから、胃の防御機能が低下しがち。飲食物が感染源となるため、ミネラルウオーターや煮沸した水を飲み、加熱された料理を選ぶことが大切だ。
 インフルエンザや風邪といった呼吸器感染症も要注意。乾燥していると、のどや鼻の粘膜にウイルスがとりつきやすい。旅行では飛行機やバス、ホテルなど乾燥しやすい環境にいることや狭い所にたくさんの人がいる機会が増え、リスクは高まる。手洗いやうがい、水分を多めにとることが基本。鳥インフルエンザ対策として、生きた鳥が売られている所には近づかないようにしたい。
 蚊に刺されてかかる感染症もある。主に東南アジアや中南米ではやるデング熱は、頭痛や関節痛が起き、まれに重症化する。マラリアは熱帯・亜熱帯地域で流行、帰国後に年間100人前後が発症し数人は死亡している。蚊が多い場所に行くときは、長袖、長ズボンを着て手足を露出しない、虫よけスプレーを使うなどの予防法をとる。

▽渡航前に確認
 

 4番目には、エイズウイルス(HIV)や梅毒など性行為でうつるものや、途上国の一部の医療機関で起こり得るHIVやB型肝炎の院内感染が挙げられる。「行動に注意するほか、できるだけきれいな病院を選んでほしい」と浜田所長代理。
 また狂犬病のウイルスは犬以外の哺乳(ほにゅう)類も持っている可能性があるため、動物にむやみに近づかず、かまれたらすぐに病院に行くことが重要になる。
 浜田所長代理は「渡航前に、流行中の感染症やどこに病院があるのか、診療を受ける手だてを確認しておく。場合によってはワクチン接種も考えて」とアドバイスする。


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