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アトピーの新治療薬 |
![]() アトピー性皮膚炎の治療薬としてタクロリムス(商品名プロトピック)軟こうが発売されてから5年。欧米では標準治療薬の一つになったが日本では使いづらい状況が続いている。動物実験のデータ解釈をめぐり異例の警告文が添付されたためで、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎問題担当理事で金沢大の竹原和彦(たけはら・かずひこ)教授らは「世界中が同じなら仕方ないが日本だけがゆがんだ状況になっている」と懸念している。 ▽免疫抑制剤 タクロリムスはもともと臓器移植の拒絶反応を抑えるために使われていた内服用の免疫抑制剤。炎症を抑える効果も強いことが分かり、1999年にまず成人用のアトピー性皮膚炎治療用として承認された。海外でもこれまでに20カ国以上で承認されている。 アトピー性皮膚炎の治療薬では以前からステロイド(副腎皮質ホルモン)外用薬が一般的。しかし自治医大皮膚科の大槻マミ太郎(おおつき・まみたろう)教授によると、ステロイドは効果が強い半面、皮膚委縮などの副作用を起こすことがある。これに対してタクロリムスは炎症が治ってくると皮膚を透過しなくなり、ステロイドのような副作用は起こさない。2000年に米国で承認された際に「米国のメディアは『人生を変える画期的な薬』と伝えた」(大槻教授)という。 しかし、国内では03年9月以降、警告文が添付され「『ネズミの実験でリンパ腫というがんが増えた。関係ははっきりしないが外国で使用中にがんになった人がいる』と説明しないと使えなくなった」(竹原教授)。 ▽副作用の危険性? 竹原教授によると、これは同年6月、濃度を低くした小児用タクロリムス軟こうの承認を前に、厚生労働省に対し、副作用の危険性を指摘した承認見送りの要望があったことが発端だという。 危険性の根拠とされたデータについて竹原教授は「がんになりやすいマウスを使った特殊な実験の結果で、人には必ずしも当てはまらない」と指摘。大槻教授も「人では血中濃度がマウスのように上昇しないので、リンパ腫を増加させる可能性はない」と断言する。 だが「そんな恐ろしい薬を使わなくたって…」という患者家族が出るなど、以前から使っていた皮膚科の現場でも混乱が広がったという。 竹原教授は「皮膚科医は成人での使用経験があるからまだいいが、小児用を初めて使う小児科医には非常に使いづらい状況になってしまった」と指摘している。 |