1年後、血管内治療に軍配
脳動脈瘤で大規模試験
 死亡率が高く、重い後遺症も起きやすいくも膜下出血は、脳の血管にできたこぶである脳動脈瘤(りゅう)が破裂して起きることが最も多い。
 破裂の治療には、こぶの根本をクリップで挟み、出血を止める脳外科手術と、血管からこぶの中に細くて柔らかい金属を詰め血流を遮断する「脳動脈瘤塞栓(そくせん)術」があるが、血管内治療である塞栓術の方が、一年後の有効性が高いとする大規模臨床試験の結果がまとまり、英医学誌「ランセット」に掲載された。
 
▽衝撃的な1年後の結果
 塞栓術は当初、外科手術に耐えられない高齢者や、こぶの位置が脳の奥の方で治療が難しい人に限って行われることが多かった。このため、外科手術に比べ治療成績が悪いとのデータも多く、2つの治療を同一条件で比較する研究の必要性が指摘されていた。  今回の臨床試験は97年以降、外科手術と塞栓術の両方が実施可能な欧米の44病院で、2143人の患者に行われた。患者はいずれも動脈瘤が破裂し、両方のやり方で治療可能と判断された人たち。いずれかを無作為に割り当て、治療から1年後の患者の状態を評価した。  その結果、0から6の7段階の重症度分類で、死亡または介助が必要な状態である3から6と判断された患者の割合は、外科手術が30・6%だったのに対し、塞栓術では23・7%で、危険性は4分の1程度低かった。
「1年後にこれだけの差が出たという点で、今回の結果は衝撃的だ」と話すのは、外科手術のほか、これまでに200例近い塞栓術を手掛けている兵頭明夫・琉球大医学部助教授。
▽患者に利点と欠点を説明 
 塞栓術は国内では97年に承認。「第4世代」といわれる現在の製品は、こぶに詰めるプラチナ製コイルの切断が簡単にできるようになり、治療時間の短縮につながっている。
 兵頭助教授は「塞栓術は患者への負担が少なく、外科手術が難しい部位での治療も可能など利点は多い。一方で、こぶのタイプやできている位置によっては向かない患者もあり、長期的な効果もまだデータ不足だ。患者に両方の利点と欠点を説明し、希望があれば応えていく時代に、日本も来ているのではないか」と話している。
  


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