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歯茎や舌など口内にできたがんの治療で、光に反応する特殊な薬を注射した後、患部にレーザーを当てる手法が、東京医大病院(東京都新宿区)
で良好な臨床成績を収めている。対象は15人と少数だが、このうち13人(約87%)で病変が消えた。切除手術や放射線、抗がん剤療法のような負担や副作用がないのが特長という。
▽活性酸素が攻撃
用いる薬は、静脈に注射すると血液中のあるタンパク質と結合し、がんやがんに栄養を与える血管に正常な組織よりも高い濃度で蓄積する。
その後、特定の波長の紫外線を低出力のレーザーで照射。すると、がんが周りの酸素を取り込み、細胞を壊す働きがある活性酸素が患部で発生、がんを攻撃し死滅させる。光線力学的治療(PDT)と呼ばれ、肺や食道、子宮頸部(けいぶ)などのがんでも実施されている。
東京医大の金子忠良講師(口腔(こうくう)外科学)は「正常な組織に大きなダメージを与えずに、がんだけをやっつけられるので、体に優しい。抗がん剤や放射線療法のような重い副作用の心配がないのがユニークなところです」と話す。
舌やほおの粘膜、歯茎など口の中にできる口腔がんには通常、切除手術や放射線の照射、抗がん剤の投与を行う。
手術では、病変部分が広いと切除して縫い合わせても、ほおが引きつったり舌が曲がったりして、強い不快感や、食べにくい、発音しにくいといった障害が残る恐れがある。切除部分に表皮を移植することもあるが、表皮をほかの所から取る手術も必要なため、患者の負担が大きくなる。
▽日焼け対策
放射線治療でも、急性の粘膜炎や異常な口の乾きが生じることがあるほか、細胞が変性し味覚や唾液(だえき)の出方がおかしくなる危険性がある。高齢者では栄養失調に陥るケースもあるという。
注射した薬はレーザーを当てると排出されてなくなるが、正常細胞には低濃度で残る。これが消えるまでの一定期間は太陽光の紫外線を浴びると、日焼けしやすい光線過敏症を起こすことがあり、直射日光を避けなければならない。
対策は①外出を避け遮光カーテンのある室内で過ごす②室内の明るさは蛍光灯一本程度③電気スタンドなど直接当たる強い光は控える④注射後の数日から1週間はサングラスをかける―など。
注射する薬の種類によって、こうした防御措置を要する期間が違い「フォトフリン」は約1カ月間、新しいタイプの「レザフィリン」では約2週間と短くなった。

▽表在がん対象
治療では、直径3―5ミリの光ファイバーの管を口に入れ、赤色のレーザーを、がんの大きさに応じて20分から1時間当てる。入院は平均で約1週間。「照射から1週間ぐらいたつとがん組織が脱落し始め、むけるような感じでとれる」と金子講師。
レーザーが届く範囲が限られるため、表面からの深さが5ミリまでの表在がんが対象。でこぼこした形状やいぼのように飛び出たがんは、照射が難しく効果が出にくい。
1997年7月以降、東京医大で実施した表在がんと前がん状態の15人のうち、13人で病変が完全に消滅。2人は病変が縮小したものの残存、ともにレーザーが到達しにくい形状だった。
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