新時代迎えたリウマチ治療
生物学的製剤が威力発揮
治癒も視野に

 古代から人類を苦しめてきた関節リウマチ(RA)。治らないとされ、世界の100人に1人が患うとされる。しかし近年、免疫機構が自分の体を攻撃する「自己免疫疾患」と分かり、そのメカニズムに的を絞り遺伝子操作でつくる生物学的製剤が登場。状況は一変した。今では治癒の可能性を口にする専門医もいる。既にこの新薬が広く使われる米国の現状を報告する。 
▽30万人以上が使用
 関節を包む滑膜が炎症を起こし増殖、関節が壊れるRA。従来は消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬、ステロイドを処方、悪化すれば人工関節への置換手術を施した。
 しかし、消炎鎮痛薬は痛みはとるが進行は止めず、ステロイドは副作用が強い。最近は進行を遅らせる抗リウマチ薬の早期投与が主流だが、最も一般的なメトトレキサート(MTX)でも「半分の人には効果がない」(竹内勤埼玉医大教授)。副作用も強く、服用につれ効果が薄れてしまう。
 そこに登場したのが、発症にかかわるさまざまな生理活性物質の働きを抑える生物学的製剤。免疫を抑制するため感染症への注意は必要だが、効果は高い。
 米国では3種類が認可され、既に30万人以上が使用している。
  
▽人生を取り戻した
 マサチューセッツ州のリンダ・ウィルソンさん(40)は3歳で発症した。専門医を訪れた15歳の時には、既に関節はすべて破壊されていた。両股(こ)関節の置換手術など、受けた手術は40回に及ぶ。
 99年、承認直後のエタネルセプトの使用を始めた。「7週間後に違いを感じました」。両手が上げられた。「自分でシャワーを浴びる。親を抱きしめる。こんな小さなことが涙が出るほどうれしいのです」
 カリフォルニア州の日系三世、メイ・フクモトさん(53)が症状を自覚したのは82年。最初は運動のし過ぎと気にしなかったが、次第に痛みはひどくなる。仕事は続けたが、夫に抱えられて入浴してからでないと出勤できなくなった。
 96年末、エタネルセプトの治験に参加。最初の注射の翌日には一人で起きられた。今では外見も健康そのもの。「人生を取り戻した気がします」
▽高コストが課題
 「治療はわくわくするような新時代を迎えた。数年後には治癒の方法を話せるかもしれない」。ニューヨーク市の特別外科病院のリウマチ専門医アラン・ギブスキー博士はこう語る。
 ただ、課題もある。一つはコスト。製造工程が複雑で、エタネルセプトの場合、出荷までに約5カ月。どうしても高価になる。
 治験から参加したフクモトさんの場合、週2回の注射は無料だが、ウィルソンさんは保険適用外。週1回の注射に約180ドル(約2万2000円)掛かる。
 ギブスキー博士も「RAと診断されたら進行を止めるため、生物学的製剤をすぐに使いたいが、保険会社が認めない」と嘆く。
 これらの薬に反応しない人がいるが、新たな生物学的製剤の登場も間近。期待は高まっている。


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