殺菌で消えない体臭も
皮膚常在菌の酵素が関与

 皮膚にいる常在菌が皮脂やあか、汗を分解して発生する体臭には、殺菌しても消えないものがあるとの研究結果を、日用品大手ライオンの生物科学研究所(神奈川県小田原市)と県立広島大生命環境学部(広島県庄原市)のグループがまとめた。

 菌の出す酵素が残っているためで、こうした体臭を抑制できる植物成分も見つけたという。
 体臭の中には、皮膚の乾燥を防ぐ皮脂や、古い皮膚からできるあか、汗といった原因物質を、皮膚のさまざまな菌が分解して生じるものがある。

▽臭気は常在菌の活動
 菌は表皮ブドウ球菌やプロピオニバクテリウムなどで、同研究所の染矢慶太主任研究員は「普段は病原菌の侵入や増殖を防止しているが、常在菌が分解の際に出す酵素と原因物質が反応し、いろいろなにおいが作られる」と話す。
 酸っぱいにおいや尿のように生臭いもの、男性特有の臭気は常在菌の活動が鍵になっており、体につける消臭剤は主に殺菌を行うが、効果への不満やにおいが続くケースもあるという。同研究所は、皮脂成分のトリグリセリドと、常在菌の一種を混ぜた後で、歯磨き剤やハンドソープなどに含まれる一般的な殺菌剤を加えた。
 菌はすべて死滅したが、カプロン酸というにおい物質の発生量は、殺菌処理をしなかった場合の5割程度にしか抑えられず、消臭は殺菌だけでは不十分と分かった。「酵素が残って働いているためです」と染矢研究員は説明する。

▽ローズマリーに注目
 

 そこで約1千種類の植物の評価を進め、食用ハーブで知られるローズマリーのエキスに注目。殺菌後にこのエキスを加えた場合は、カプロン酸を8割以上抑える効果があった。脂質を分解する酵素の作用を弱める阻害率は、殺菌剤の約4倍あり、常在菌の酵素の働きを阻んで、におい物質を抑制していると考えられた。
 また、あかが分解されてできるにおい物質に関しても植物を検索。生薬として用いるオトギリソウのエキスと殺菌剤を併用すると、殺菌剤だけを使うより抑制効果が増強することも確かめた。
 ローズマリーとオトギリソウ両方のエキスを塗ったTシャツを男性4人に着て運動してもらい、運動後に別の9人が評価する試験では、臭気強度と不快度のいずれも、エキスを塗らなかったときより低くなったという。


ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2005 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved