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急増の加齢黄斑疾患 |
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「われわれ、目の専門医でも数年前まで、ほとんど耳にする病気ではなかった」―というのが、高齢社会で急に増えてきた「加齢黄斑(おうはん)疾患」だ。「黄斑」とは網膜の中心にあって最も大事な部分。ここがやられると、周りは見えても、肝心の見たい所が見えなくなるという、つらい状態になる。
▽生活の質を低下
「黄斑は、物を見分けるために特化された所」と大阪大大学院感覚器外科(眼科学)の田野保雄教授。年を取って、この黄斑に障害が起こる加齢黄斑疾患は、高齢者にとって生活の質(QOL)を非常に低下させる病気で、今後ますます問題になりそうという。 「両目をやられると、一人で歩け、生活もできるが、生活の肝心な部分が見えない」(同教授) 原因はまだ不明だ。加齢のほかには、生活様式の欧米化や、目の使用が長くなったことによる酸化ストレスなどが考えられている。 黄斑疾患には四種類あり、①黄斑部の表面に膜ができてしまう「黄斑上膜」②中心部分に穴があいてしまう「黄斑円孔」③むくみができる「黄斑浮腫」④黄斑部の下に血管が新生したり、黄斑部が委縮してしまう「黄斑変性」―がある。 このうち、最後の黄斑変性が最もやっかいで、まだ決定的な治療法がない。放っておくと、どんどん視力が下がる。欧米では成人の失明原因の第1位になっているほどだ。ほかの3つは、幸い手術などにより、かなり治癒率が高い。 ▽認可待ちの「光線力学療法」 日本では黄斑変性のデータがないが、住民の疫学調査が進んでいる福岡県久山町では、五十歳以上で0・67%と「驚くほど高い数字で、欧米と同じくらいありそう」と田野教授。 一時はレーザー治療が実施されたが、効果がほとんどないとして、現在は行われていない。 唯一、期待されているのが、「光線力学療法」(PDT)と呼ばれる治療法だ。欧米では第一選択になっている。日本では昨年、治験も終わり、効果が確認されたため申請中だが、現在認可待ちの状態。もう少し時間がかかりそうだ。 光感受性色素を静脈に注射。10分後、この色素が黄斑部の新生血管部分に集まるので、そこをレーザーで照射し、破壊する。 すぐに効果が表れるが、再発が多いため、3カ月ごとにチェックし、必要なら治療を繰り返す。 田野教授は「安全な治療法で、特殊な技術は必要なく、眼科医なら誰でもできる。劇的な効果が出ることもあり、早く認可をしてほしいと思っている」と話している。 |