疲労の定量化目指す
産官学プロジェクトが発足

 「慢性疲労症候群」の研究班からスタートした疲労・疲労感のメカニズム研究がこのほど、疲労を定量化し、抗疲労食や疲労回復薬の開発を目指す産官学連携のプロジェクトに結実した。
 「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」で、疲労を客観的に測れるバイオマーカー(生体指標)を見つけ出し、それを基に疲労を予防したり、疲労を早期回復させる成分を探して抗疲労食品を開発する。期間は3年間。医薬品開発にはさらに時間をかける。
 ▽世界初の試み
 疲労研究に携わってきた大阪市立大など5大学に、「産」からは製薬・化学九社、食品7社、総合商社2社の計18社が加わり、「官」は大阪市が参加。バイオマーカーを得意とするバイオベンチャー「 総合医科学研究所」(大阪府豊中市)がコーディネーターとなって11月7日にスタートした。
 プロジェクトリーダーで同研究所取締役の梶本修身・大阪外大保健管理センター助教授は「疲労の定量化は世界初の試み。産官学の力を結集して疲労のバイオマーカーを見つけ出し、抗疲労食品(特定保健用食品)を開発、過労の防止や労働衛生の改善を目指したい。産業の活性化や医療費抑制にも結び付くプロジェクトだ」と指摘。
 第1期(2003年10月-05年9月)の1年目は、疲労のバイオマーカーを開発し、疲労の定量評価法を確立。2年目はそれを用いて、医薬・食品分野の抗疲労成分の効能評価を実施する。
 現在、バイオマーカーの候補はアシルカルニチンやTGFベータなど30種類以上あり、ボランティアを動員して2泊3日の精神・肉体的負荷試験を繰り返し、マーカーを追跡、システムを開発していく。
 ▽抗疲労成分を開発
 定量化システムが得られれば、カフェインやタウリン、アスコルビン酸など既知の成分を含め、参加企業各社が持つ素材を調べ、抗疲労成分を開発していく予定という。  第2期(05年10月-06年9月)には、人を対象にして臨床試験を行い、疲労抑制または疲労回復効果を検証する。
 疲労のメカニズムを研究している文部科学省の「疲労研究班」班長の大阪市大の渡辺恭良教授(システム神経科学)は「疲労の入り口はさまざまだが、複数の事由で説明できそうなことが分かってきた。脈の中でも加速度脈波で交感神経系の活動が探れるし、生化学的なバイオマーカーであるアシルカルニチンも主観的な疲労の度合いと一致することなども分かってきた」と研究成果の一端を紹介した。
  
 

ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2003 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved