体質調べ救命率向上に
炎症性物質多いと重症化

  救急患者の遺伝子を調べ、けがや病気がほかの人より重症化しやすい体質かどうかを判定、リスクがあればより強力な集中治療を行う臨床研究に、千葉大医学部が取り組んでいる。それぞれの患者にあったオーダーメード医療により、救命率を向上させる狙いだ。
 けがや感染症、手術などで体が大きなダメージを受けると、多臓器不全を招く全身性炎症反応症候群が起きることが知られている。

▽IL6に注目

 原因は、ダメージに伴って免疫担当細胞から過剰に作られた炎症性物質が臓器を傷めるため。こうした物質を合成するように指令を出す遺伝子には、普通より多量に作るタイプがあり、この遺伝子を持つ人は同症候群が重症化しやすいという。
 千葉大の平澤博之名誉教授と織田成人教授(救急集中治療医学)は、代表的な炎症性物質で、測定しやすいインターロイキン(IL)6に注目した。
 事故や感染症などで集中治療室(ICU)に救急搬送されてきた重症患者を分析したところ、IL6の血中濃度が1ミリリットル中1万ピコグラム(ピコは1兆分の1)以上の高い濃度の九人の救命率は約33%だったが、それより低濃度の183人では約90%と好成績だった。
 平澤名誉教授は「とてつもなく濃度が高い人がおり、同症候群が重症化し救命率が低下する危険性があるかどうかの指標として、IL6が使えると考えた」と説明する。
 さらに、IL6を過剰に作る複数の遺伝子を特定し、遺伝子解析により重症化を予測し早期治療につなげる臨床研究を今年から始めた。

▽重症化を予測

 患者から採血し、IL6の血中濃度が1ミリリットル中1000ピコグラム以上の場合を目安に、家族の同意を得て遺伝子を解析。IL6を過剰に作る遺伝子を持つ高リスク患者には、炎症性物質を取り除く血液ろ過装置の台数を増やし、より強力な集中治療に当たる、という内容だ。
 これまでに10人の救急患者の遺伝子を調べたが、高リスクの人は見つかっていないという。  平澤名誉教授は「高リスク患者は、体制が整った救命救急センターに最初から搬送するなどの措置が、将来は可能になるかもしれない」と話している。


ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2005 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved