がんの悩みと助言ネットに 
1万項目、年内にも公開
静岡がんセンター

 がんの患者や家族の持つ悩みと、それに対する助言をインターネットで検索できる「WEB(ウェブ)版がんよろず相談システム」を、静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町、山口建総長)が年内にも公開する。実際に寄せられた悩みを基にしており、項目は1万件余り。患者・家族だけでなく、全国のがん診療連携拠点病院や地方自治体にも活用してもらいたい考えだ。


  ▽7885人調査
国民の3人に1人ががんで死亡する現在、悩みは多岐にわたる。山口総長を主任研究者とする厚生労働省「『がんの社会学』に関する合同研究班」が2004年、全国のがん体験者7885人の回答をまとめた調査では、悩みは健康、医療費、仕事、家族など大きな分類でも15項目、小分類では2万数千項目に及んだ。
 研究班はこれをデータベース化し「医療情報をもっと知りたいとき」「医療費控除の仕組み」「在宅で受けられる医療・介護サービス」などの冊子を作製。静岡がんセンターのウェブサイトにも掲載してきた。
 公開を予定しているのは、2万数千項目のうち1万余りについてで、誰でも自由に検索できるシステムにする。公開後は、静岡がんセンターのトップページから「よろず相談」に入り、2種類の方法で検索する。
 1つはデータベースの分類に従って表示される悩みから選ぶ方法。もう1つは、文章で記載する方法で、例えば「抗がん剤による治療が高価で経済的に悩んでいる」と入力すれば、一定の金額が払い戻される高額療養費制度の説明が出る。この回答を見た人が参照にした別の悩みも表示される仕組みだ。

▽道しるべに

高齢者でインターネットを使いこなせる人は少ないため、研究班は拠点病院や自治体の担当者が患者の相談に乗りながら検索するなどの使い方も提案している。
 こうした事業を進める理由について、山口総長は「悩みと解決法を伝えることで、患者の孤独感を癒やし、がんと闘う道しるべとなる。医療従事者や行政担当者にとっては、悩みをより深く把握するのに役立つから」と説明する。
 静岡がんセンターは四年前の開院当初から「よろず相談」窓口を設けている。同センター研究所患者・家族支援研究部の石川睦弓部長によると、対面による相談は年間4千件、電話では同6千件。専任のソーシャルワーカー4人を中心に8人が担当し、年間5千万円かかっている。
 悩み・助言サイトは「よろず相談」の経験を拠点病院に提供する狙いもある。窓口開設の注意事項として山口総長は「医師、看護師、ソーシャルワーカー、事務局、幹部などが後押しするシステムが欠かせない。多くの相談は、裏に苦情が潜んでいるので、それをくみ取って対応することも必要」とアドバイスする。

 

▽窓口一覧も
 研究班は自治体向けに、検診や治療、在宅療養サービスなどの「医療資源」を一枚にまとめた「がんに関する相談・情報窓口一覧」の見本も作った。
 医療資源は自治体によって異なり、違う担当部署だとサービス内容を知らないこともある。内容、連絡先、費用などをつけた一覧表があれば、患者・家族の利便性が高まるだけでなく、行政担当者の理解や意識も深まることが期待できる。
 研究班は、一覧表の見本と、静岡県内の42市町を対象に行った医療資源調査の報告書を、全国の自治体と拠点病院に送り参考にしてもらう予定だという。





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