『うつ病 1』

「死にたい」は要注意 
張賢徳・帝京大助教授

 

日本人の15人に1人が生涯に一度は経験するとされるうつ病。よい治療薬があるにもかかわらず、不適切な薬を長期間処方され、かえって重症化させる恐れがある例も多いという。自殺者増加の背景にあるとされるこの病気について、帝京大溝口病院(川崎市)で治療に当たる張賢徳(ちょう・よしのり)・同大助教授に聞いた。

 ―そもそもうつ病はなぜ起きるのでしょう

 「脳の神経が情報のやりとりに使う神経伝達物質という化学物質が減ってしまうのが原因と考えられています。遺伝的素因を持つため起きる内因性と、大きなストレスにさらされて起きる反応性があります。誰でも発症しうるありふれた病気で、患者も増えています」

 ―「抑うつ」や「うつ状態」という言葉も聞きますが

 「明確な定義はありませんが、軽度のうつ病と考えて結構です。病気ですから治療は必要です」

 ―どんな症状が特徴的なのでしょうか

「端的に言うと、うつ病は感情の反応と生命のエネルギー水準が落ちてしまう病気です。気分が沈んで、ものごとに興味を失う。ただそれ以外にも胃腸症状や頭痛、不眠、肩こり、息切れなどさまざまな症状が出ます。特に男性の場合、イライラして攻撃的になることも珍しくありません」

 ―素人にはうつ病との判断は難しいですね

 「だから最初は内科にかかる人が圧倒的で、精神科や心療内科に直接来る人は10%に満たないとの報告もあります」

 ―こんな症状があったら専門医へ、という目安はありませんか

 「『死にたい』という気持ちが出てきた場合です。『消えたい』とか『ずっと寝ていたい』も要注意。こうなると自殺の危険も出てきますので、専門医による投薬と、何より休養が必要です」

 


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