|
国内初の本格試験で結論 |
食物繊維をたくさん食べても、大腸がんの予防効果は期待できない―。食物繊維のイメージを揺るがすような結果が、国内初の本格的な臨床試験でまとまり、10月初めの日本癌(がん)学会(東京)で報告された。意外なようだが、欧米でも数年前から同様の研究報告が続いており、専門家の間では新たな“常識”になりつつあるという。
▽意外な結果 研究をまとめたのは、石川秀樹・兵庫医大助手ら。試験開始は1993年で、大腸の良性腫瘍(しゅよう)や早期がんを切除したことがある40~65歳の男女約400人を無作為に4つのグループに分け、次のような条件で、一人ひとりを4年間追跡した。 4班とも、毎日の食事の脂肪分を減らすように指導を受けたのは共通で、第1班はそれ以外に特別なことはせず、第2班は食物繊維の一種である小麦のふすま(皮の部分)を多く含むビスケットを毎日食べた。第3班は、生きた乳酸菌製剤を毎日のみ、第4班はふすまと乳酸菌の両方を取り続けた。 最後まで参加し続けた計380人について分析した結果、食物繊維を食べても食べなくても、腫瘍ができる危険は変わらないという結果だった。乳酸菌製剤も、腫瘍全体でみると予防効果はなかったが、条件を「4年後に前がん病変ができる危険」に限定すると、危険が約3割小さくなることが分かった。 石川さんは「小麦ふすまと乳酸菌の両方に予防効果があると予測して試験を始めたので、意外な結果だった」と振り返る。 しかし、国内の結果がまとまるより一足早く、欧米では食物繊維の大腸がん予防効果を否定する臨床試験の結果が相次いで発表されていた。 ▽食物繊維食べないのは早計 坪野吉孝・東北大助教授(公衆衛生学)によると、代表的なのは米国の2件、欧州10カ国の1件で、いずれも2000年に、権威ある学術誌に論文が掲載された。 「これらの結果を総合すると、食物繊維をたくさん食べても、大腸がんを予防できない可能性はかなり高くなった」と石川さんは言う。 もっとも、だからと言って食物繊維を食べなくなるのは早計だ。 専門家によると、食物繊維の摂取が多い人の方が、心筋梗塞(こうそく)や糖尿病のリスクが低いことが分かっている。また便通の改善効果も明らかで、石川さんらの臨床試験参加者からも、小麦ふすまビスケットを食べて「便秘や軟便が改善した」などの声が多く寄せられたという。 + font> |