全身が痛む線維筋痛症
研究班発足、全国調査へ
原因不明、人口の2%?

 女性に多く全身が痛む原因不明の線維筋痛症に取り組むため、厚生労働省が研究班を発足させた。来年早々に全国調査を行い、よく分かっていない病態や患者数を把握、治療法開発につなげたいとしている。
 ▽痛みとうつ
 10月9日、東京都内で研究班の初会合が開かれた。参加した医師の専門は、整形外科、リウマチ科、心療内科、精神神経科、小児科、ペインクリニックなどさまざま。各分野からの報告で、線維筋痛症の実態が少しずつ分かってきた。
 患者の訴えは筋肉や関節の痛みが中心だが、日大板橋病院心療内科の村上正人講師によると、84%に睡眠障害、70%に胃腸症状が見られた。特徴的なのは、ほとんど全例にストレスの要因が見られ、多くはうつ状態を伴っていたことだ。
 村上講師は「心身の疲弊や自律神経系の障害、性格的因子、ライフスタイルなどの要因が重なり、発症につながっている」と推測する。
 発症原因としては、ほかに免疫異常、外傷などが推測されている。
 篠ノ井総合病院(長野市)リウマチ膠原(こうげん)病センターの浦野房三医長は、外科手術との関連を指摘した。患者139人のうち「外傷や手術後に発症したと考えられるケースが69例あった」と言う。
 ▽無理解で悪化
 米国では、押すと痛い場所(圧痛点)の数で判定する診断基準が1990年にでき、患者は人口の2%、リウマチ外来を訪れる人の4-7%といわれる。患者は中年の女性に多い。
 だが日本では、病名すら知らない医師もいる。血液やエックス線の検査結果に異常がないことも、患者を苦しませる大きな要因になっている。
 「病院に行っても『異常はない。頑張って耐えて』と言われて傷つき、別の病院でも同じことが繰り返される」
 研究班長の西岡久寿樹・聖マリアンナ医大教授は、医療側の無理解で患者が病院を転々とし、症状が悪化していく事情を説明した。
 症状が重くなると、髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになる場合もある。
 治療は、抗うつ剤や運動が効果がある場合もあるが、手探り状態だ。
 最近では小児の患者も見つかっている。日本医大千葉北総病院小児科では、女子14人、男子1人が線維筋痛症と診断された。ほとんどが中学生で、うち5人は頭や腹の痛みを訴え不登校になっていた。
 ▽友の会
 全国調査は、さまざまな診療科にかかっている患者の数を把握するため、各病院に線維筋痛症と診断した患者数をアンケート。さらに個別の患者を調査し、発症した時期や症状の特徴などを1年後をめどにまとめる。
 線維筋痛症への取り組みは、この1年で急激に進んだ。昨年10月、患者らでつくる「線維筋痛症友の会」が発足。今年3月に西岡教授が中心となった研究会、6月には日本リウマチ財団の研究委員会ができ、異例の早さで厚労省研究班が設置された。「厚労省や医療関係者が、病気の重大性を認識したためだろう」(西岡教授)。
 3人でスタートした友の会は約180人に達し、インターネットのホームページで情報交換をしている。代表の橋本裕子さんは「まだまだ病気が知られていないので、地元で診てくれる病院が増えてほしい」と、研究班に期待をかけている。
 線維筋痛症友の会は、郵便番号233-0012、横浜市港南区上永谷4-8-22-102。電話兼ファクス045(845)0597。ホームページは http://homepage3.nifty.com/fms-j/
 

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