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がん細胞の活動をとらえるPET(陽電子放射断層撮影)と、臓器の形を画像化す
るCT(コンピューター断層撮影)を組み合わせたがん検診が急速に普及している。
早期発見の切り札として期待は大きいが、すべてのがんが見つかるわけではなく、わずかだが被ばくも増える。放射線医学の専門家は「特徴を理解し、適切に使うことが必要だ」と指摘している。
▽数段の好成績
日本核医学会会長で東京女子医大の日下部(くさかべ)きよ子教授(放射線科)
によると、同病院でPET検診を受けた人は約3千人。100人に2人程度の割合でがんが見つかり「ほかの検査法に比べ、発見成績は数段いい」という。
PETはがん細胞がエネルギー源のブドウ糖を、正常細胞の数倍も取り込む性質を利用。ブドウ糖とよく似た構造のFDGという薬に放射性同位元素を付けて静脈注射し、がん細胞に集まったFDGから出る放射線を特殊なカメラで検知する。このため、従来の検査ではっきり分からない早期の異常をとらえられる。
検診目的では保険が効かず、10万円以上の費用がかかる。だが、ほとんど苦痛なしで全身を一度に調べることが可能。「がんの早期診断、早期治療に非常に役に立つことは間違いない」(日下部教授)という。
▽万能ではない
だがPETでは周囲の臓器はぼんやり映るだけで、位置までは特定できない。このためCT検査も同時に行える複合機のPET/CTが登場した。エックス線により臓器もはっきりとらえるCT画像との合成で、がんの正確な位置が一目で分かるようになる。
PETは早期発見だけでなく、腫瘍(しゅよう)の良性、悪性の別や進行度の判断なども可能。一方で「極めて小さながんも見つかると紹介されることがあるが、それは疑問」と日下部教授。「おとなしい早期がんを五ミリ以下で見つけるのは無理。
肺がんなら7、8ミリ、大腸がんなどは1センチは必要」で、胃がん、肝細胞がん、腎がんなどの発見も苦手という。
▽被ばく量管理を
PET検査に伴う被ばくは一回当たり約3.5ミリシーベルトで、胃や腸のエックス 線透視と同レベル。だがPET/CTで鮮明な画像を出そうとすると約十ミリシーベ
ルト高くなる。
放射線診断による被ばく問題については英オックスフォード大が昨年、15カ国を対象とした調査で「日本は放射線診断の回数が最も多く、放射線が原因と推定されるがん患者も最も多い」と指摘した。
欧米では十数年前から、がんの疑いがあれば最初にPET検査を行い、余計な検査や治療を省いているという。
日下部教授は「PET/CTの線量で異常が起きることはまずない」とするが、同病院では検診被ばくを少なくするため、まずPETで全身を検査。異常が見つかったら、その部分だけCT検査を追加している。
また、PET検査では放射性薬剤を注射するため、検査を受ける人が〝放射線源〟となる。線量は数時間で減衰、問題なくなるが、検査後1―2時間は乳幼児を抱かないなどの注意が必要。患者らと毎日接する医師や看護師も、微量でも被ばくを避けるため、接触時間をなるべく短くする方がいいという。
日下部教授は「PETやPET/CTの有用性は間違いないが、検診にこれほど放射線を使うのは日本ぐらい。欧米では、検診に利用してどこまで価値があるのか、日本に注目している」と話している。
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