肥満高血圧患者の死亡半減 
降圧剤ARBの臨床試験

 国内で多く使われている二種類の降圧剤の効果を、糖尿病などの危険因子を持つ高血圧患者で比較した大規模臨床試験「CASE―J」の結果が、福岡市で開かれた国際高血圧学会で発表された。アンジオテンシン2受容体拮抗(きっこう)薬(ARB)の「カンデサルタン」は、カルシウム拮抗薬の「アムロジピン」に比べ、肥満患者の死亡率を半分に抑制したという。
 ただ、ARBの薬価はカルシウム拮抗薬の約2倍と高いことなどから、研究代表者の猿田享男慶応大名誉教授は「2薬を少量ずつ併用するのがいい。日本高血圧学会の治療ガイドラインに反映させたい」としている。
 

 
▽4700人で試験

 
 臨床試験に参加したのは、20―84歳の高血圧患者のうち、収縮期血圧が180ミリ以上か拡張期血圧が90ミリ以上の重症である、糖尿病がある、6カ月以内に心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を発症した、などの危険因子の1つ以上を持つ約4700人。平均年齢は約64歳、25以上で肥満となる体格指数(BMI)が平均24.5の人たちだ。数が低くなると考えられる」これを2群に分け、それぞれの薬を投与、2001年9月から3年以上観察した。
 両群で血圧の下がり方に差はなく、臨床試験の主要評価項目である突然死や心筋梗塞、脳卒中などの「心血管系イベント」の最終的な発生率も、ともに約6%だった。
 しかし、BMIが27.5以上の肥満患者に限ると、ARB投与群はカルシウム拮抗薬投与群に比べ死亡率は約半分と、顕著な効果がみられた。また、糖尿病の新規発症は約36%少なく、慢性腎臓病患者が腎不全になったのも約半分だった。



▽臓器保護効果


 
ARBは血管収縮を抑え、カルシウム拮抗薬は血管を拡張させる作用があり、世界的にも心血管系イベントを予防すると報告されている。今回の臨床試験でもそれが確認されたが、猿田氏は特にイベント発生を12カ月単位で分析した結果に注目している。
 観察期間の前半はカルシウム拮抗薬が発生を抑え、後半はARBが抑制する傾向があったといい、猿田氏は「ARBにあると言われていた臓器保護効果が出た。より多くの患者で試験すれば、もっと傾向に差が出ただろう」としている。


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