『結核-5


 予防内服の容認を 
森亨・結核研究所名誉所長

 


 ―予防接種以外に変わった点は。
 

「昨年の結核予防法改正は、見つけた患者は必ず治すことと、集団的対応から個別的対応へと、きめ細かな対策にすることを主眼にしています。例えば胸部エックス線検査は『16歳のときと19歳以上は年1回』と一律だったのが、年齢や職業などの感染・発病のリスクに応じたものに変わりました」

 ―どのようにですか。

「定期の健康診断の場合、学校の先生や病院の職員は年1回、大学生や高校生は入学した年に1回、自治体健診では65歳以上が年1回、などです。また、新たにかかった患者の周囲の人の健診では、結核の疑いがある人に法的拘束力をもって健診を受けてもらえるよう規定されました」




 ―課題は何でしょう。

「胸部エックス線検査で結核が治ったあとがあるが化学療法を受けたことがない人や、感染の疑いが濃厚で糖尿病など結核発病のリスクが大きい人は、発病予防のための投薬『予防内服』が有効です。米国では『潜在結核感染症の治療』と位置付けていますが、国内では健康保険の適用や結核予防法の公費負担の対象となるのは29歳以下。発病者の80%を占める中高年の発病予防のため予防内服の年齢枠を外し、積極的に患者発生を防ぐ必要があります」

 ―ほかには。

「予防内服で分かるように、治療は世界標準より劣っています。ニューキノロン剤など抗結核薬として承認されていない薬が標準的に使えるようになると、治療効果が上がるはずです。また、薬剤耐性結核の予防と的確な対応のために、精度の高い結核菌薬剤感受性検査が必要ですが、病院や検査センターによって精度がばらついており、検査の外部精度管理を制度化する必要があります」(完)


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