肺炎球菌ワクチン利用を
高齢者の肺炎予防に効果

  高齢になるほど死亡原因に占める「肺炎」の割合は高くなる。2001年の1年間、日本では約8万5千人が肺炎で死亡しているが、そのほとんどが65歳以上の年配者だ。肺炎の原因は、ウイルスなども含まれるが多くは細菌によるもので、その半分近くが「肺炎球菌」という。
 ▽風邪やインフルエンザがきっかけ
 「日本では1988年から肺炎球菌のワクチンがあるのだが知名度が低く、まだ接種率が非常に低い。米国では65歳以上の接種率は60%を超えている。ワクチン接種で肺炎による死亡を相当抑えられるはず」と長崎大の松本慶蔵名誉教授は指摘する。
 肺炎球菌はどこにでもいる普通の細菌だが、高齢になるにつれ、体の抵抗力が衰え、風邪などで気管支が弱ってくる場合に、肺炎球菌が肺まで入り込み、肺炎になりやすくなる。
 「肺炎は風邪やインフルエンザをきっかけに引き起こされる」と松本名誉教授。
 「健康なときは、細菌が肺への通り道である気管支に入り込んでも、粘膜の表面に生えている無数の“繊毛”などの働きで排出されてしまうが、例えばインフルエンザウイルスに感染すると、ウイルスが気管支粘膜の細胞内で増殖し、繊毛がはがれ落ちて、排出作用が低下してしまう」
 だから、肺炎にならないためには、風邪やインフルエンザ予防が大事。
 「風邪は手洗いやうがいで、インフルエンザにはインフルエンザワクチン接種で予防する」(同名誉教授)
   ▽接種は医療機関と相談を
 肺炎球菌ワクチンは、インフルエンザワクチンと併用することで効果が上がることが海外のデータで分かっており、接種時期を合わせるとよいとされている。
 日本での肺炎球菌ワクチン使用量は2000年度までは毎年数人分程度だったが、01年度には約2万人、02年度にはやっと約15万人分になった(インフルエンザワクチンは毎年1千万人以上が接種)。
 肺炎球菌ワクチンの効果は、人によって異なるが、5年程度続く。ただ、毎年接種するインフルエンザワクチンと異なり、アレルギー反応の可能性があるため、1回だけの接種しか認められていない。接種はいつでもよいが、公費助成がある自治体は、全国で15市町村にとどまる。
 松本名誉教授は「肺炎球菌ワクチンの接種を受けるには、まず行きつけの医療機関と相談を。65歳以上の人や肺・心臓に病気を持つ人などは接種した方がよい。心配される新型肺炎(SARS)については、専用のワクチン開発が待たれる」と話している。

 【※】助成がある自治体は北海道瀬棚町、長沼町、秋田県鷹巣町、岩手県藤沢町、宮城県白石市、蔵王町、七ケ宿町、新潟県津川町、埼玉県大滝村、三重県関町、和歌山県大塔村、岡山県奈義町、鳥取県江府町、佐治村、福部村
      

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