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トイレが近い上に残尿感があり、夜中に何度も起きてしまう―。50歳以上の中高年男性の5人に1人といわれる前立腺肥大は、生活の質(QOL)低下の大きな原因になる。「年だから仕方ない」と我慢している人が多いというが、症状が進むと正常に尿を排出できない尿閉や腎不全などになる恐れもある。その侮れない病気の治療法として「ホルミウムヤグレーザーによる前立腺蒸散術」(HoLAP)が普及しつつある。
▽止血も同時に
HoLAPは、尿道から内視鏡の中を通してファイバーを患部まで挿入し強力なレーザーを照射、肥大した組織を瞬時に蒸散させる治療法。北海道から福岡まで全国の19施設が導入するなど、急速に実施施設が増加している。
東海大学医学部の寺地敏郎(てらち・としろう)教授(外科学系泌尿器科学)によると、使用しているホルミウムヤグレーザーは水によく吸収されるため、水で満たされている尿道やぼうこう内は、レーザーを照射しても他の組織に悪影響を与える心配がない。
さらに、レーザーでは肥大した部分を蒸散させて取り除くのと同時に止血もできるので、メスを使った従来の外科手術に比べて出血や痛みが少ない特長がある。
「1泊2日程度の入院で済み、場合によっては日帰り手術も可能になっている」と、寺地教授は説明する。
▽雪が消える感じ

ホルミウムヤグレーザーを使った前立腺肥大治療には、このほかに、肥大した部分を摘出する前立腺核出術(HoLEP)がある。レーザーを当てて、ミカンの房を皮からはがすように肥大した部分を切り取った後、その組織を細かくして取り出す手法だ。
これに対してHoLAPは、組織を瞬時に水と二酸化炭素に分解させる。雪の上にお湯をかけると雪が溶けて消えていくような感じで、核出術に比べ短時間で処置できる利点があるという。
「肥大部分をくりぬくように切り取る核出術は、ある程度熟練を要する。蒸散術は、蒸散によって尿道を確保できれば良いので、それほど難しい手術ではない。しかも、他の方法に比べて勃起(ぼっき)神経を傷つけることがずっと少ないので、QOLの面からも望ましいようだ」と寺地教授。
▽8割が1人で悩む
外資系医療機器メーカーのボストン・サイエンティフィックジャパン(東京都新宿区)が4月に実施したアンケートがある。
40歳以上の男性1534人を対象に調査したところ、約6割に当たる949人が「おしっこについて悩みや気になることがある」と回答。このうち400人に詳しく聞いた結果、8割近くが「悩みを誰にも相談したことがない」と回答し、1人で悩んでいるケースが多いことを裏付けた。
寺地教授は「高齢社会を迎え、前立腺肥大で悩む人が増えるのは確実。お年寄りの場合、おしっこの悩みで出無精になることも多い。お年寄りが他人と接触しないようになると、認知症が進んでしまう恐れもある。それを避けるためにも、1人で悩まず専門医に相談してほしい。早期には投薬による治療も可能」と強調している。
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